八条学園騒動記
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第二百十八話 白々しいスキャンダルその六
「これって」
「穏便にね」
「できると思う?」
「できると思うよ」
ジョルジュはにこりと笑ってそのナンシーに返した。
「目には目だよね」
「ええ」
「そしてペンには」
「ペンよ」
ナンシーはこう答えたのだった。
「そういうことね」
「そういうことだよ。やり返すよね」
「勿論よ。全く、こんな凶悪な宇宙人と交際なんて」
「向こうがそう来たらこっちは?」
「考えがあるわ」
真面目な顔で言うナンシーだった。
「秘策あり、よ」
「その言葉信じていいんだね」
「いいわよ」
いいというのである。
「この青い炎、きっとね」
「ペンに乗せるんだね」
「そういうことよ。問題はね」
「こんな記事信じる人は誰もいないけれど」
「むしろ信じる方がおかしいでしょ」
ナンシーは確かに怒ってはいた。しかしである。それでも現実はわかっていた。現実というものをわかっていない人間もいることにはいるがだ。
「こんな話は」
「そうだね。大体こんな宇宙人いるのかな」
「さあ」
ナンシーはジョルジュの今の言葉には首を横に振った。
「いないんじゃない?」
「いないかな」
「だって。何十メートルもあるじゃない」
まず言うのはその大きさからだった。
「大き過ぎるじゃない」
「そうだよね。このシリーズの宇宙人全部そうだけれどね」
「まあ全部じゃないにしても」
「殆どよね」
「どういう身体の構造してるんだろう」
「あの大分前に博士に家を壊されたもの書きの」
ナンシーはある人物の話を出してきた。それは。
「柳田算数だったかしら」
「ああ、あの科学の知識がおかしい」
「あの人が色々書いてたけれどね」
「あんな下らない本書けるのって才能だよね」
ジョルジュはその柳田算数の本について話した。
「物凄く下らないよね」
「面白くないのは事実ね」
ナンシーもこのことは認めた。
「もう読んでるとそれだけでね」
「下らないよね」
「下らなさ過ぎて頭にくるわ」
ナンシーはここでまた不機嫌なものになった。
「何か科学の知識おかしいわよね」
「うん、小学校レベルでね」
「それ高校生の私にもわかるし」
「僕にもね」
「それだけおかしいってことよね」
「そうだよね」
「まああの作家の言うことは置いておいて」
それでだというのだ。さらに話をするのであった。
「実際大きさもそうだけれど力とか外見もね」
「滅茶苦茶よね」
「殆ど怪獣よ、あれは」
ナンシーは断言した。怪獣だとだ。
「っていうか怪獣と区別のつかない宇宙人も多いわよね、あのシリーズって」
「そうだよね。怪獣は自然を、宇宙人は各国をモデルにしてるっていうけれど」
「この前に出て来たフォックス星人っていたじゃない」
「ああ、あれね」
その星人のことはジョルジュもよく覚えていた。
「あの尻尾が九本あってやたらと頭のいい宇宙人だったよね」
「あのモデルは日本らしいのよね」
「日本だったんだ」
「そう、あの国だったらしいのよ」
そうだというのである。
「どうやらね」
「成程、そうだったんだ」
「そうよ。狐でわかるわよね」
「ああ、そうだね」
ここでまた言うジョルジュだった。
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