八条学園騒動記
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第二百十四話 カレーと酒その七
「ビーフンですか」
「やっぱりないわよね」
「はい、麺そのものがありませんので」
セーラは蝉玉にこの事情から話した。
「どうしても。それは」
「ううん、マウリア料理はやっぱりカレーなんだ」
スターリングは首を傾げさせながら述べた。
「カレーが第一なんだ」
「その他の味や他のお料理はあまりなのね」
蝉玉もまた話した。
「だから連合に来て」
「色々な味を知りました」
セーラ自身の言葉だ。
「素晴しいです、連合は」
「この多様性がなの」
「余計に」
「太平洋にアフリカ、それと欧州の一部」
連合の最初の構成国である。
「それに新興国家や古代民族の国家もありますね」
「ええ」
「とにかく多いけれど」
連合はだ。かなり多いのは確かだ。
「それを見て」
「だからこそだったんだ」
「はい、連合の多様性は素晴しいです」
セーラの言葉は手放しの域にまで達していた。
「このことを学んでいこうと思います」
「ううん、連合にいたらわからないけれど」
「確かに」
皆ここでもワインやビールをつまみと一緒に飲みながら話す。
そしてだ。ふとそのワイン等についても話した。
「連合じゃおつまみも色々あるけれど」
「確かに」
「ワインとかビールだけじゃないし」
「お酒の種類もかなり多いし」
こういう話になっていた。
「ねえ」
「それ考えたら連合って」
「恵まれてる?」
「そう思いますよ」
ラメダスの言葉だ。
「連合は色々な食べ物もお酒もあり」
「そして文化や文明も」
「そうなりますね」
「そうです。映画にしても」
ここで映画の話にもなった。
「色々な映画がありますね」
「マウリア映画っていったら」
「あの凄く長い映画?」
「それですよね」
「踊りが欠かせないあの」
マウリア映画といえば長さと踊りである。それが特徴になっている。
「連合の映画とはかなり違いますけれど」
「それもなんですね」
「マウリアの映画は好きです」
ラメダスもそれは認めた。
「しかしです。それでもです。連合の映画はです」
「色々とある」
「それがいいんですか」
「最初踊りのない映画を観て驚きました」
これこそがマウリア側からの言葉だった。
「何故踊らないのかと」
「連合じゃミュージカル映画以外は踊りませんから」
「それは」
このことはすぐに皆が言った。実際に連合ではミュージカル映画やオペラ映画がある。だがそうしたもの以外ではやはり踊らないのだ。
「それ考えたらマウリア映画はミュージカル映画なんですね」
「他にも色々入ってますけれど」
「まずは踊りです」
その通りだというラメダスだった。
「所々に踊りを入れるのです」
「それでいきなり映画の進行が止まって」
「いきなり人が一杯出て来て」
そこから踊るのである。
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