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八条学園騒動記

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第二百十一話 アマゾンの食材その九


「私の別邸ですから」
「いや、別邸っていうのがもう」
「何ていうか」
「ねえ」
 有り得ない話であった。
「連合じゃそこまでのお金持ちってそういないし」
「しかもあれが別邸の一つじゃないわよね」
「そうだよね」
「私の別邸の一つです」
 『私の』というところも何気に重要であった。
「連合には他に。ええと」
「十です」
 ラメダスが考える主に述べてきた。
「連合にはそれだけです」
「そうでしたね。アメリカと中国にもあって」
「キューバにもあります」
「リゾート地にでしたね」
「はい、キューバはそれでです」
 ラメダスは至って冷静に話す。
「他にもありますし」
「そしてエウロパにもありましたね」
「はい」
 マウリアはエウロパと国交がある。だからそこにあっても問題はないのだ。
「そこには最近行っていませんが」
「一度行かなければなりませんね」
「そうですね。イギリスのウェリントン公爵ともお話しないと」
「はい、ですから」
「何か凄い会話」
「確かに」 
 皆ブラジル料理を食べながらセーラのハアなしを聞いて呆然となっている。
「セーラの家ってやっぱり凄いね」
「マハラジャは伊達じゃない」
「本当に」
「さて、そのセーラの別邸だけれど」
 レミも真剣な顔になっている。
「また行かせてもらうわ」
「どうぞ」
 セーラの今度の顔はにこりとしている。
「お待ちしています」
「さて、それじゃあ」
「皆でね」
「行こうか」
 こうしてであった。彼等は今度はセーラの家に行くことになった。
 そしてである。軍人達は。
「いいな、生き残れ」
「イエス、サー!」
「わかっています、サー!」
 今度はだ。蠢く毒蛇達を前にしていた。
「この連中は光を見せて退散させろ」
「光をですか」
「それをですか」
「そうだ、光をだ」
 それだというのである。
「それで退散させろ、いいな」
「了解です」
「それなら」
 一人がだ。グレネードランチャーを出してきた。
 それを見てだ。全員サングラスを装備した。
「目は潰れるってわけじゃないがな」
「光で暫く見えなくなりますからね」
「だからこそ」
「そうだ、一瞬の事態が死を招く」
 ここでもこんなことが言われる。
「だからだ、いいな」
「本当にやばい場所ですね」
「全く」
「噛まれたら死ぬからな」
 大佐の言葉は真剣だった。見れば毒蛇達の色は赤に黒に白と実に美しい。しかし誰もがその色からきけんなものを察するのだった。
「サンゴヘビですからね」
「余計にですよね」
「そうだ、サンゴヘビの毒は怖いぞ」
 大佐は表情も真剣である。
「冗談抜きに猛毒だからな」
「ええ、そういうことで」
「気をつけます」
「光を放て」 
 大佐はそのグレネードランチャーを出してきた兵士にまた告げた。
「わかったな」
「はい、それじゃあ」
 こうして光が放たれ今は何とか助かった。蛇達が散っていったのだ。
 彼等は十日の間そんな訓練を続けた。全員無事に生き残って帰れた。しかしまさに地獄からの生還だった。その他に言いようのないことだった。


アマゾンの食材   完


                  2010・6・28 
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