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八条学園騒動記

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第二百十一話 アマゾンの食材その六


「物凄いから」
「ベトナムが豊かなのも当然ね」
「少なくとも食べ物には全然困らないね」
 それは満足しているというのだ。
「けれどブラジルはベトナムよりもっと大きな国じゃない」
「まあそうだけれどね」
 レミはそのことは認めた。
「大国なのは大国ね」
「六大国の一つじゃない」
 日米中露の他にトルコとそのブラジルが入るのである。
「物凄く大きくて豊かな国じゃないの?」
「あまりお金あるって印象ないのよね」
 レミは腕を組んでこう述べた。
「皆かなり適当で能天気だしね」
「ラテンだから?」
「それもあるけれど国民性でね」
 そうだというのである。尚連合は明るいカラーの国が多い。日本はそうではないと言われているが何かというと配色は目立ったりする。
「何か皆お金入ったらすぐ使って」
「つまりあるだけ使うってこと?」
「政府もなのよ。それであまり豊かって印象はないのよ」
「豊かっていうかそれって」
「そうだよな」
「違う意味なんじゃ」
 皆その植物のシェラスコや鰐のステーキを食べながら言う。
「能天気なのは事実だけれど」
「というか使うだけのものがあるってやっぱり」
「豊かなんじゃ」
「そうなるかしら」
「まあ豊かだね」
 ネロもそれは言う。
「あまり計画性ないみたいだけれど」
「ブラジル人ってそうなのよ。どうしてもあったら使ってしまって」
 そのブラジル人の言葉である。
「お金なくても何かやっていけるし」
「それは豊かでしょ」
「絶対に」
 皆すぐに突っ込みを入れた。
「何よ、ブラジルって」
「豊かじゃない」
「それもかなり」
「ううん、食べ物には困らないのよ」
 右手を頭の後ろにやって言った。しかもネロと同じ言葉である。
「資源は豊かだし人口は多いし観光もあるしおまけに工業地帯もいいのが一杯あって」
「好条件揃い過ぎだろ」
「サハラとかとえらい違い」
 連合と違いサハラは貧しい。特に国民所得はだ。人口で二十倍、国力で百倍の開きがある。国民所得も五倍以上の開きがある。
「それで豊かじゃないって」
「何なのよ」
「やっぱりブラジルって」
「そうよね」
 また皆で言い合う。
「豊かっていうか」
「それもかなり」
「言われてみればそうかしら」
 ここでやっとレミも頷いた。
「豊かかしら」
「豊かだよな」
「そうよね」
「連合六大国の一つだし」
 何といってもこのことが大きかった。
「国は財政に困ってないでしょ」
「福祉とかも」
「あればあるだけ使っちゃうけれど」
 とにかくこれは事実なのだった。この時代のブラジル式の金の使い方だ。
「それでも。困らないわよね」
「仕事は?」
「失業率は連合の他の国と同じ位よ」
 つまり低いということだった。連合の失業率は一パーセント前後である。職がなければ開拓地に行けばいいという考えもこれに影響している。
「それで食べ物はね」
「餓えてないわよね」
「それはないよな」
「ないわね」 
 これも連合全体のことである。そしてレミの返答は。 
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