八条学園騒動記
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第二百十一話 アマゾンの食材その四
「だからだ」
「ああ、無防備になる時にですね」
「獲物が油断したその時にですか」
「襲い掛かって来る。だから注意しろ」
ここでもサバイバルだった。
「わかったな」
「本当に危険な場所なんですね、ここって」
「普通の戦場以上ですね」
「だから訓練にもいい」
命懸けだからこそというのだ。
「そういうことだ」
「エウロパ軍は正攻法しかないですけれどね」
「あの連中は」
「けれどテロリストとかは違いますしね」
連合軍の相手はエウロパ軍とは限らないのである。治安維持もあるからだ。
「宇宙海賊も基地で暴れますしね」
「そうそう」
「だからだ」
大佐はまた言った。
「テロリスト達のことも考えての訓練だ」
「難しいですね、あの連中は」
「捕虜にはしないにしても」
「宇宙海賊やテロリストはな」
彼等は捕虜にするのは指揮官の自由な裁量とされているのだ。それは彼等が正規の軍人ではないからに他ならないのである。
「それでいいからな」
「はい」
「ですから」
「ここの動物達は殺してはならない」
動物達についても話される。
「しかし宇宙海賊やテロリスト達は違うからな」
「自由に殺してもいいですね」
「その通りですね」
「そうだ。軍人ではない」
これが大きいのだ。
「犯罪者だ」
「ではその時は」
「容赦なくやらせてもらいます」
「そういうことだ。俺もエウロパ軍が相手だと憎いにしてもだ」
エウロパ軍はどいうかというとだった。
「捕虜として扱う」
「正規の軍人ですしね」
「ですから」
「長官もそうしたことには五月蝿い」
八条のことである。この動物園のオーナーでもある。
「無闇な血を好む人ではないからな」
「そうですよね。俺達はサハラからの難民ですが」
「その俺達にも言いますからね」
「そうですよね。エウロパ軍とは戦え」
それは絶対だというのだ。
「しかし復讐はそれで終わらせろと」
「戦場でだけだと」
八条はこうしたことには五月蝿い。攻撃対象もあくまで軍人や軍事施設に限定する。戦争をしても戦場以外で人を害しようとはしないのだ。
「そういうことですね」
「つまりは」
「正しい考えですね」
「そうだ、それでいい」
大佐もそうだという。
「一般市民や軍事施設以外への攻撃はな」
「アッラーの教えでもありませんね」
「それに美しいものではない」
「だからこそですね」
「あくまで戦場でだけ」
「軍人相手にはだ」
あくまでその場合はというのである。
「そういうことだ」
「しかし宇宙海賊やテロリストは容赦なくですね」
「倒していい」
「殺してもいいと」
これは連合の考えだ。連合は犯罪者には何処までも厳しい社会なのだ。
「しかし醜い行いはするなと仰いますね」
「殺してもいいが」
「そうだな。略奪も暴行も厳禁だ」
連合軍はこれもだった。
「宇宙海賊の財宝も全て被害者に戻される」
「それは正しいですね」
「確かに」
「そうだ、それは確かに正しい」
大佐はまた言った。
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