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剣の世界の銃使い

作者:疾輝
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ボッタクリ店主と黒尽くめ

 
前書き
今回はあの二人との話し合い(?)がメインですね
では、どうぞ! 

 
SAOが始まってから約1年と3ヶ月が経った。
その間にプレイヤーたちは着実にゲームに順応していき、今の最前線は第58層まで攻略していた。
ちなみに俺はレベル81。他の攻略組プレイヤーに比べると結構高い数値だ。まあ、ずっとソロでやってきているところも大きいのだろうが。
俺はブルーサマランダーとの戦闘を終え、今借りてる宿がある第50層、アルゲードに戻ってきていた。アルゲードはSAO内では有数の大型な街であり、完結に表現すると《猥雑》の一言に限る。広大な面積いっぱいに無数の隘路が重層的に張り巡らされていて、一度迷い込むと2,3日戻って来れないとまでいわれているらしい。
毎回、新しい街の場所が分かると俺はその街に行き、隅々まで回って立体マップを登録できる《ミラージュ・スフィア》というアイテムに細かく記していくのだが、このアルゲードは他の街の3倍も時間がかかったのを覚えている。
宿に戻る前にさっきのアイテムを処分しておこうと思い、馴染みの買取屋に足を向けた。程なくして一軒の店にたどり着く。この店の店主とは知り合いで、俺は大抵アイテムを処分するときはここを利用している。
中に入ると、店の中はがらんとしていた。奥にいた店主を見つけ、声をかける。

「よっす、エギル。阿漕な商売のし過ぎで客が来なくなったか?」

店主がこちらを振り向く。

「レイトか。バカ言え、こんな朝っぱらから店に来るのはお前ぐらいしかいねーんだよ」

この店の店主、エギルと軽口を叩き合う。頭をスキンヘッド、百八十センチはある体躯の黒人。それがエギルだ。
ちなみに今は午前2時すぎである。

「大事な睡眠時間奪って悪かったな。まあ、いいもん持ってきたから許してくれよ」

「ほう、お前さんがそういうなら、なかなかいいもんなんだろうが、どれどれ・・・」

俺がトレードウインドウを提示すると、エギルがそれを覗き込んだ。
エギルの両目が、トレードウインドウを覗き込んだとたん驚きの色を示した。

「おいおい、これはブルーサラマンダーの素材じゃねぇか。いいのか?丸ごと売っちまって」

「ああ、俺はまだ装備を新調しなくてい・・・」

そこまで言ったところで、後ろの入り口が開いた。一人のプレイヤーが中に入ってくる。

「あれ、レイトか?こんなところで会うなんて珍しいな」

そう言って入ってきたのは、黒髪の全身を黒で固めている少年だ。名前をキリトという。
俺と同じくアルゲートをホームとしていて、さらに攻略組の一人な為、フィールドではよく会ったりする。

「俺はいつも、このくらいの時間にここに来るからな。お前もここ利用してたのか、クロノ」

「いい迷惑だ。その所為で俺は毎回起こされるんだけどな」

エギルの店は意外と、と言っちゃいけないが結構繁盛している。そのため、他に客がいなくて、早めに用事を済ませやすい早朝にこの店に来ることにしているのだが。あと、クロノというのは俺がキリトにつけたあだ名で、彼の二つ名の《黒の剣士》からとっている。

「だからクロノはやめてくれって。それで、何の取引してんだ?」

キリトも俺のトレードウインドウを覗き込んで来る。

「うお、ブルーサラマンダーの素材かよ。よく倒せたな」

キリトもエギルと同様、驚きの表情を示す。

「あ、爪があったらくれないか、防具に必要で」

「エギルに売るんだから、売った後にそれを買えばいいんじゃないのか?」

「いや、エギルから買うと値段をぼったくられるんだよな・・・」

「ああ、それは分かる」

「お前ら、そういうのは本人の前で言うもんじゃねえよな」

エギルが苦笑する。エギルは商人なのにもかかわらず、自己犠牲という言葉からはかけ離れているとおれは毎回思う。

「よし乗った。というわけで先にトレードしてたのにスマンなエギル。爪はクロノに売るわ」

「ん、問題ない。それ以外のやつだけでも、十分助かるからな」

取引を成立させ、二人とトレードを終わらせる。俺はウインドウを閉じて、店から出て行こうとした。

「この後、レイトはどうすんだ?何も用事ないなら、これから知り合いのギルドが打ち上げやるって言ってるんだが・・・お前もどうだ?」

後ろのキリトから誘いの声がかかる。しかし、俺は片手を上げて

「すまんが、おれはパスで。ちょっとやることがあるんでな。クラインにもすまないと伝えておいてくれ」

「よくクラインのところのギルドだって分かったな・・・」

「俺とおまえが共通して知り合いがいるギルドなんてあそこしかないだろうが」

と、断った。これから、スキルの熟練度を上げに行くためだ。別にそれだけなら誘いに乗ってもいいのだが、俺はまだ、友人たちにもあのユニークスキルを見せたことが無い。そのため、あれを使うときには、全くパーティを組まずに、一人で狩るようにしている。
にしても、クロノも変わったなぁ。出会ったときに比べればかなり角が取れている。いいことなんだろうな。
そのまま、振り返らずに店から出た。  
 

 
後書き
感想とか待ってます!! 
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