八条学園騒動記
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第百六十一話 いじめその四
「それで」
「いや、悪くはないよ」
「っていうかそれで当然よ」
「犯罪なんだし」
皆ビアンカのその考えに賛成した。連合においては動物虐待は立派な犯罪である。殺せばそれで死刑になるケースもあるのだ。動物の命も人の命も同じだけの重さがあるというのである。ただし犯罪者の命は何よりも軽いのもまた連合という社会なのである。
「それ位はね」
「当然じゃない」
「もうそれはね」
「その場合はね」
「そもそもよ」
ここで言ったのはペリーヌだった。
「今あの連中がやってるってことだけで犯罪じゃない」
「動物虐待だからなのね」
「そうよ」
まさにそれだとビアンカに答えるペリーヌだった。
「今の時点で」
「だから。死ぬ思いで懲らしめるのよ」
死ぬ思いだというのであった。
「それこそね」
「死ぬ思いなの」
「さて、何をしてやろうかしら」
ビアンカは腕を組んで考える顔になっていた。
「捕まえてやったら」
「そうね。もう絶対にしないっていう位のことはしないとね」
ペリーヌも言う。それは当然だというのである。
「それこそね」
「それでどうするんだよ」
「捕まえたら」
「捕まえてから考えるわ」
それはこれからだというのである。
「それからね」
「何か適当だな」
「そうね」
皆今のビアンカの言葉を聞いてつい首を傾げてしまった。
「これからなんて」
「せめて今から考えないの?」
「すぐに決められるし」
しかしビアンカはまだ言うのであった。彼女にしてはいささかいい加減であった。
「それはね」
「決められるんだ」
「すぐに」
「そうよ」
また述べるビアンカであった。
「捕まえて。まあ今でもある程度は考えてるし」
「ある程度ね」
「そうなの」
「よし、じゃあまずは捕まえましょう」
何につけてもそれからだというビアンカであった。
「捕まえないと何にもならないしね」
「まあそうだけれどね」
「それはね」
あらためて皆でそれを確かめ合う。考えてみればまず捕まえないと何にもならない。その懲らしめることもどうにもならないのである。
「それじゃあ」
「ベッキー、頼んだわよ」
こうしてベッキーを見守る。するとだった。
その連中が動けなくなった。瞬く間にであった。
「何っ!?」
「う、動けねえ!?」
「これこそ我がマウリアに伝わる伝統の呪術」
それだというのである。
「伝説の金縛りの術です」
ここで、であった。ベッキーは己の姿を現わしてみせたのである。小屋の中に。
「えっ、あんたあの」
「マウリアの妖術使いの手下のかよ」
「妖術使いとは?」
それを聞いたセーラがふと言った。
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