| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二十二話 彰子の秘密その二


 だがどうにもぴんとこない。考えが煮詰まってきた四人は一旦教室を出て屋上で話をすることにした。
 屋上には青い空が見える。四人はその下で校庭を見下ろしながら話をしていた。景色がかなりいい。
「それでさ」
 まずはアンが口を開いた。
「誰か心当たりいる?」
「心当たりねえ」
 ダイアナがその言葉に首を傾げさせた。
「そう言われても」
「あたしもそこまではね」
 ジュリアの勘でもどうにも掴めないようであった。
「どうにも」
「たださ」
 しかしここでペリーヌが言ってきた。
「彰子ちゃんの好みよね」
「そうよ」
 アンがそれに頷く。
「だいじなのはそこよ。それさえわかれば」
「だったらさ」
 ペリーヌはそれを聞いたうえでさらに言う。
「意外と絞れるんじゃない?あの娘の好みを知れば」
「そうね」
 それにダイアナが頷く。
「だったらちょっと心当たりがあるわ」
「何、それは」
「妹さんよ」
 ダイアナはアンにそう返した。
「ほら、彼女妹さんいるじゃない」
「あっ」
 他の三人はダイアナの言葉を聞いて声をあげた。
「そうよ」
「妹さんがいたのよ」
 やっとそれに気付いた。まさに灯台下暗しであった。
「妹さんに聞けばね」
「凄い手懸かりになるわね」
「そうよね」
 言いだしっぺのダイアナもそれに頷いていた。
「それじゃあ」
「ええ、決まりね」
 四人は互いに頷き合う。何時の間にかその位置が円になっていた。
「将を射るにはまず馬から」
「全てはそれからね」
「そうね」
「それじゃあそういうことで」
 四人の次の動きは決まった。彰子の妹明香の下へ向かうことにした。その頃テンボとジャッキーは訳のわからない捜査をしていた。
「手懸かりはこの仏像の下だ!」
「あんたが知ってるわね!」
 そこいらのお寺の仏像や通行人を指差して勝手なことを言っている。もう二人には誰も何も言いはしていなかった。完全に話から置いてかれていた。

 四人はすぐに明香のクラスへ向かった。そこで彼女に会った。
「私にですか?」
「ええ」
「ちょっと聞きたいことがあってね」
 四人は明香に対して言う。
「聞きたいことですか」
「そうよ」
「ちょっといいかしら」
「はい」
 飛香は四人の言葉に頷く。そして校内の喫茶店で話をするのであった。
「別にね」
 白いテーブルを囲んで話をしている。飲んでいるのはアンとジュリアが紅茶、ダイアナはコーヒー、ペリーヌはサイダー、明香は緑茶であった。銘々好きなものを頼んでいた。
「あんたに何かするってわけじゃないのよ」
 アンが言った。
「はあ」
「それでね」
 今度はダイアナが声をかけてきた。
「あんたのお姉さんのことで」
「姉さんですか?」
「そう」
 ジュリアが言ってきた。
「ちょっと聞きたいことがあってね」
「それでこうやってね」
 ペリーヌも言う。
「妹の貴女に聞きたいことがあって」
「何をですか?」
 どういうわけか明香は身構えているようであった。
「その。聞きたいことって」
「実はさ」
 アンが尋ねる。
「お姉さんって誰かと付き合ってるとか知らない?」
「そう、よかったら教えて」
「ちょっと」
 アンとダイアナのストレートさにペリーヌが注意してきた。
「幾ら何でもストレート過ぎるわよ」
「あっ」
「しまった」
 失敗に気付いたがもう遅い。このまま行くしかなかった。
「それでさ」
 ペリーヌが作戦を決定してきた。開き直って尋ねる。
「よかったら教えてくれないかしら。タイプを」
「わかると思います」
「!?」
 四人は明香の言葉に首を捻るだけであった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧