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IS《インフィニット・ストラトス》~星を見ぬ者~

作者:白さん
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第四話『SPP01』

「本当に良いのか? 開発最中のISを赤の他人の俺に見せるなんて」


車の中でロイが運転席、スウェンは助手席にいる。スウェンはロイに連れられて、彼の研究所へ向かっているところだ。因みにリズはネレイスと一緒に家で留守番だ。


「ああ、別に極秘ってわけの物じゃないし、スウェンも前見たいって言ってたからね。研究も少しだけど終わりに近づいたし、余裕も出来たから。それに……」

「?」

「君はもう赤の他人じゃない。僕達の家族だよ」

「……」


スウェンは無言で頬杖をつき、窓の外を見ていた。心なしか僅かに微笑みを浮かべていた。


「しかし、この世は変わりつつあるね。あの事件のせいで」

「……ああ」


数週間前、とある事件が発生し世界の軍事に大きな影響を与えた。


『白騎士事件』

日本を射程距離内とするミサイルの配備された軍事基地すべてのコンピュータが一斉にハッキングされ、2341発以上のミサイルが日本へ向けて発射された。しかし、その危機に現れたのが白銀のIS“白騎士”だ。

白騎士はミサイルを無力化し、その後に捕獲もしくは撃破しようと各国から投入された戦闘機207機、巡洋艦7隻、空母5隻、監視衛星8基を、一人の人命も奪うことなく白騎士は破壊。一夜でISは“究極の機動兵器”として名が広まった。それにともない、ISは“宇宙進出”の為ではなく“兵器”として認識されるようになった。

束が言ったとおり、世界のバランスは変化していっていたのだ。


「僕とネレイスの研究も、全部兵器関連へ移行されたよ。そういえばこの前、ネレイスと一緒に特殊部隊からISのメンテナンスを頼まれてね、いや~部隊の皆からの視線が怖かったよ」

「とてもそうには思えないんだがな……」





/※/





「お待ちしておりましたよ、ロイ博士」


2人が研究所へ到着し施設内へ入ると、眼鏡をつけた男性。『笹村 隆二』が出迎えた。


「例の部隊の責任者がロイ博士に会いに来てますよ。今応接室にいらっしゃいます」

「そうか、待たせるのは悪いからね。それじゃ、スウェン。彼に施設を案内してもらってね」

「わかった」


ロイはそのまま、応接室へと向かった。


「君がスウェン君か。ロイ博士から話は聞いてるよ。それじゃ、早速ロイ博士の研究室へ行こうか」

「よろしくお願いします」






そうして、スウェンは隆二に連れられ、ロイの研究室へと赴いた。少し大きな扉の前に立つと、隆二は扉のロックを外し、2人は中へと入る。そこは格納庫のような場所で、様々な機材が置いてあり、下手に触るとどうなるか解かったものではない状況があちらこちらに広がっている。

2人は明かりが灯っていないのか、真っ暗な場所の前に立つ。


「これがロイ博士とネレイス博士が今開発しているISだよ」


そう言い隆二はスイッチを押し明かりが灯る。スウェンは眩しさで思わず手で目を覆う。徐々に目が慣れ、前を見ると彼は驚愕した。


「これは……!?」


頭部には白と黄色の四本のアンテナに、黄色のツインアイ。装甲は基本白を基調としており、胴体のみ青い。佇むそのISの姿。スウェンはそれを知っている。


「ス、ストライク……?」


そう、GAT-X105『ストライクガンダム』が彼の前に佇んでいたのだった。彼は困惑する、何故これが此処にあるのかと。


「博士達が開発した、どんな状況にも対応できるように、何時でも装備を換装出来る『ストライカーシステム』っていうシステムの対応機、私達はSPP01と呼んでいるよ」

「……」

「スウェン君?」


スウェンはゆっくりと、まるで呼ばれているようにそれに近づく。


(何だこの感覚は……)


「ちょ! スウェン君! 勝手に触っちゃ……」


その時、スウェンがそれに触れた瞬間、光り輝いた。


「な、何が起こったんだい!?」

「ロイ博士!!」


隆二が振り向くとロイと、その隣に眼帯をつけた軍服の女性が居た。


「SPP01が起動しているのか……な、何故!?」

「そんな馬鹿な! ISは女性しか起動できないはず!」


スウェンはSPP01から離れ、光りは消える。スウェンは隆二達の下へ行く。


「スウェン……君は一体何を……?」

「いや……あれにただ触れただけだ」

「私達が触れても起動しなかったのに……何故?」

「失礼」


ロイの隣に居た女性は一歩前に出る。


「私はドイツ軍IS配備特殊部隊“シュヴァルツェ・ハーゼ”の責任者『シュハイク・オーディス』大佐だ。少年、君の名は?」

「スウェン。スウェン・カル・バヤンだ」

「ほう……スウェンか、良い目をしている……戦争を知ってる目だ」

「!?」

「君の事は覚えておこう……」


鋭い眼光でスウェンを見た後、シュハイクはロイの方を向き


「Drロイ、面白い人物に会わせてもらった。感謝している」

「え? は、はぁ……」

「これにて失礼する」


シュハイクは敬礼し、出口へと歩んでいった。


「シュヴァルツェ・ハーゼ……か」

「ス、スウェン、君の身体を診査させてもらっても構わないかな?」

「……ああ」


渋々了承したスウェンであった。


 
 

 
後書き
今回登場したシュハイク・オーディスはオリキャラになります。黒ウサギ部隊は色々わからない点が多いんですよね…… 
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