対決!!天本博士対クラウン
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第四百九十五話
第四百九十五話 カーテンコール
遂に舞台は終わった。そうして。
万雷の拍手と共に最後の挨拶が出る。そしてだった。
歌手達が舞台に降りた幕の間から次々に出て挨拶をしてくる。それを見てタミーノがライゾウとタロに対してこのことを説明してきたのだった。
「あれがカーテンコールです」
「舞台のあれだよな」
「最後の」
「はい、そうです」
まさにそれだとだ。タミーノは二匹に話す。
「歌劇はここまで観てこそです」
「それで完璧なんだな」
「というかカーテンコールまで観てなんだ」
「その通りです。舞台は劇が終わってそれで終わりではないのです」
確かにそれは終わりではある。だがそれでもだというのだ。
「カーテンコールまで観てです」
「どうでしょうか」
フィガロもだ。二匹に言ってきた。
「このカーテンコールは」
「ううん、そうだな」
「ここまでじっくり観るとかテレビやインターネットでは中々ないからね」
ライゾウもタロも舞台はテレビやインターネットで観てはいる。だがそれでもなのだ。その目で観ると観ないのとでは全く違うのである。それが舞台だ。
だからだ。二匹は今はこう言うのだった。
「こうして実際に劇場で観るものなんだな」
「カーテンコールも」
「この目で観ると本当に違うぜ」
「何か別物だね」
「そうですね。違いますね」
フィガロはまた二匹に言う。
「それが醍醐味なんですよ」
「舞台の醍醐味か」
「この目でカーテンコールを観るのも」
「そこが違うんだな」
「そうだよね」
二匹だけでなくだ。タミーノとフィガロもである。
「じゃあ最後の最後までな」
「じっくり観ようか」
「そうです。歌劇は最後までなのです」
「このカーテンコールを最後まで観てこそです」
それでだ。全てが完結するというのだ。
「序曲や前奏曲。それはない場合もありますが」
「それでもカーテンコールまで、です」
タミーノもフィガロも話していく。
「観てこそなのです」
「指揮者がオーケストラを立たせて礼をするまで」
「あっ、今だな」
「そうだね。今だね」
指揮者もカーテンコールに出て来てだ。そうしてだった。
そのオーケストラを立たせた。その礼が為される。それが全て終わってから彼等は堪能の気持ちを心から味わった。カーテンコールもこれで終わった。
第四百九十五話 完
2012・5・28
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