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対決!!天本博士対クラウン

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第四百八十二話


                    第四百八十二話  動物の目
 美樹が家の中でオレンジジュースを飲みながら弟の信也に話していた。その話すことはというと。
「鳥は梟とか以外は夜見えないんだね」
「そうよ。それを鳥目っていうのよ」
「そうなんだ。それで色もなんだ」
「トカゲとか亀は色がわかるけれどね」
 爬虫類はそうだというのだ。だが、だった。
「犬とか猫は駄目なのよ」
「哺乳類は駄目なんだ」
「哺乳類で色がわかるのは人間とね」
「その他には?」
「猿だけよ」
 その動物だけだというのだ。
「哺乳類で色がわかるのは人間と猿だけなのよ」
「じゃあ狐とか狸」
「わからないわよ」
 色はだ。わからないというのだ。信也は美樹に対して意識せずにタミーノやフィガロのことを話していた。まさに狐と狸そのものである。
「牛とかもそうなのよ」
「あれっ、じゃあ闘牛って」
「赤いマントをひらひらさせるけれどね」
「色はわからないんだ」
「あのマントの動きを見て興奮するのよ」
「そうだったんだ」
 信也は姉の言葉に目を何度もしばたかせた。
 そしてそのうえでだ。こう言うのだった。
「ううん、色がわかるのって凄いことなんだね」
「そうよ。赤とか青とかね」
「色がわからないと白黒しかないのかな」
「テレビと同じよ」
 白黒テレビである。尚美樹も信也もカラーテレビしか知らない。白黒テレビというものは名前、二人の祖父や祖母から少し聞いた位である。
「白黒でしか見えないのよ」
「色って大事だね」
「使い魔は魔法で色がわかるようになってるけれどちょっと油断したらわからなくなるの」
 美樹は魔女として弟にこのことも話した。
「ビルガーとファルケンもそのことは注意してるのよ」
「そうなんだね」
「そうよ。色は大事よ」
 美樹は微笑んで信也に話す。
「見えるのと見えないのとでね」
「それだけで全然違うんだね」
「そうよ。それでね」
「それで?」
「オレンジジュースを飲んだからね」
 優しい、まさに姉としての言葉だった。
「歯を磨くわよ、後でね」
「うん、そうしないと虫歯になるんだよね」
「歯に黒いものができて凄く痛くなるのよ」
「だからしっかり磨かないと駄目なんだよね」
「信也もね。わかったわね」
「うん、今から歯磨きするよ」
 信也は美樹の言葉に素直に頷いて歯を磨くのだった。美樹にとって信也は可愛い素直な弟であり信也にとって美樹は優しくてしっかりとした姉なのだ。


第四百八十二話   完


                   2012・4・11 
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