| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

対決!!天本博士対クラウン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三百五十七話


             第三百五十七話  今すぐには
 華奈子も美奈子もトレーニングと共に牛乳をこれでもかと飲んでいく。そうして飲みながら二人でこんなことを話すのだった。
「ねえ。そろそろかな」
「大きくなるかって?」
「うん。なるかな」
 華奈子が美奈子に言っていた。
「そろそろ。胸が」
「いや、それはないわよ」
 ところがだ。美奈子は双子の相方の言葉を打ち消してしまった。そのうえでこう華奈子に告げた。
「だって。幾ら飲んでもすぐにはね」
「大きくならないの」
「だから。体力つけるのと同じじゃない」
 それとだというのである。
「徐々になのよ」
「ううん、牛乳もなの」
「牛乳飲んですぐに大きくなったら」
 今回は美奈子が華奈子に話していた。この双子の大抵のパターンになっている。
「それこそ。皆ね」
「胸が大きくなってるわよね」
「そうよ。だからそれはないわよ」
 こう華奈子に話すのだった。
「やっぱりね」
「そうね。考えてみたらね」
 そして華奈子もだった。美奈子の話に納得するのだった。
「そんなすぐになる筈ないわよね」
「ゆっくりとだからね」
 美奈子は微笑んでいた。そのうえでの言葉だった。
「こういうのもね」
「そうね。ただ」
「ただ?」
「若しかしたらだけれど」
 次第に曇った顔になってであった。華奈子は美奈子に話すのだった。その話すこととは。
「幾ら飲んでも。それでもね」
「胸が大きくならないかもっていうのね」
「そうよ。その可能性もあるわよね」
 こう美奈子に話すのだった。若し牛乳を飲んでもそれでも胸が大きくならなければ、というのである。将来への不安というものだった。
「あるわよね、それも」
「ええ、あるわ」38
 それはあるとだ。はっきりと認める美奈子だった。
「否定できないわね、それは」
「ううん、若しそうなったらどうしよう」
「背だって伸びるとは限らないしね」
「そうそう」
 背もであった。やはり牛乳を飲んでもだ。必ず大きくなったり高くなったりするとは限らないのだ。人それぞれということなのである。
「そうなったら。嫌よね」
「それでもね」
 しかしだった。美奈子は華奈子にこう言った。
「いいことがあるじゃない」
「いいことって?」
 華奈子は美奈子の今の言葉に顔を向けた。そうしてまた話をするのだった。


第三百五十七話   完


                 2011・1・31 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧