対決!!天本博士対クラウン
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第三百四十三話
第三百四十三話 リーダーの修業
梨花はだ。この日山に入っていた。
そして山の中の大きな岩の前に立ってだ。自分の使い魔のピエールとジュリエッタの言葉を聞いていた。
「ここはです」
「やはり慎重にいきましょう」
「そうね。やっぱりね」
梨花も二匹の言葉に頷く。
「さもないとね。これだけの岩はね」
「簡単には動かせません」
「それに動かしてもです」
彼等の言葉がさらに続く。
「コントロールは困難です」
「ですから」
「この岩を分けてね」
どうするか。梨花も言う。
「それで私のギターに合わせて動かすっていうのは」
「かなりの注意が必要ですから」
「岩の一つ一つを自在に動かされるのですよね」
「ええ、そうよ」
その通りだというのであった。そしてである。
梨花はだ。岩を見てだ。慎重な仕草でステッキを動かす。それで岩が動いた。
動かしてからだ。彼女は言った。
「じゃあこの岩はね」
「はい」
「分けられてですね」
「そうするわ。それじゃあね」
ステッキを前にかざした。するとだ。
岩が分かれた。小さい無数の石になった。その石を見てまた言う梨花だった。
「じゃあこの石をね」
「はい」
「動かしてですね」
「そうするわ。いいわね」
「そうですね。ただ」
「いいですか?」
ピエールとジュリエッタは考える顔で述べる。
「石を一度に全部使われるのではなく」
「ここは少しずつ使われてはどうでしょうか」
これが彼等の提案であった。
「そうして少しずつ使える石を増やしていけば」
「いい練習にもなりますし」
「そうね。確かにね」
梨花も彼等のその提案に頷く。そうしてだった。
浮かんでいる石達をだ。一旦全て地に落とした。
「これでなのよね」
「はい、使う石の数をセーブしてです」
「それでどうでしょうか」
「一度に全部使う必要はないしね」
梨花はこのことにも気付いたのだった。
「そういうことだしね」
「では。それで」
「練習といきましょう」
「そうね。じゃあ」
ギターを出した。その演奏をはじめるのだった。
第三百四十三話 完
2010・12・15
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