対決!!天本博士対クラウン
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第三百二十話
第三百二十話 ガムの効果
小田切君は博士が作り上げたそのコーヒー味のガムを口の中に入れてみた。まずその味を確かめてみる。すると、であった。
「あっ、この味は」
「いいのじゃな」
「はい、美味しいです」
こう答えるのだった。
「あのコーヒーガムの味ですね」
「最近なくなったのが寂しいのう」
「ええ、ですから食べたかったんですよ」
「味は消えぬぞ」
ここで博士は言ってきた。
「思う存分楽しむといい」
「そうなんですか。幾ら噛んでも味は消えないんですか」
「うむ」
また言う博士であった。
「それがわしのガムじゃよ」
「成程、凄いですね」
「しかも一枚噛めばじゃ。歯垢や口臭も取ってくれる」
「ガムって軍隊じゃ歯磨きの代わりにも使いますしね」
これは本当のことである。アメリカ軍ではそれを考慮してそのうえでレーションにガムを入れていたりしているのである。そうしたことも期待できるのがガムなのだ。
「それでなんですね」
「左様、それで眠気はじゃ」
「はい、取れました」24
こう答える小田切君だった。
「このガムかなり効きますね」
「これで居眠りなんぞしなくなるぞ」
「はい、確かに」
「何しろじゃ」
小田切君は常識の範囲内で応えていた。しかし相手はあの天本博士である。常識なぞ最初からない。そうした人物であるからだ。
こう言うのであった。
「一枚で一週間寝なくて済むからのう」
「えっ、一週間ですか」
「そうじゃ。凄いガムじゃろ」
「あの、それって」
一週間と聞いてだ。小田切君は戸惑いながら言葉を返した。
「その間ずっとですか」
「寝られんぞ」
「じゃあ僕もやっぱり」
「まあ一週間。時間はたっぷりあるからのう」
「かえって迷惑なんですけれど」
そこまで寝られないと聞くとだ。とりあえず普通の人間である小田切君は戸惑った。しかし普通の人間でない博士はというとだ。
「一週間ではなく最低でも一ヶ月は効くのがいいのう」
「いえ、それはいいですから」
「それは嫌か」
「一週間だけでも考えものなのに」
実際にここから一週間全く寝られなかった小田切君だった。その間仕方なくである。ネトゲにはまって中毒になりかけたのであった。
第三百二十話 完
2010・9・22
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