対決!!天本博士対クラウン
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第百六十四話
第百六十四話 蛇の巣
「さてと。実験は成功じゃな」
「あれ実験だったんですか」
意気揚々とあの全自動車椅子に乗って街を歩く博士に小田切君が尋ねていた。
「百人も殺しておいて」
「些細な余興じゃよ」
百人殺しても博士は全く平気なのであった。
「あの程度はな」
「あの程度はって」
「これからもっと凄いことをするつもりじゃ」
そして平然としてまた述べるのだった。
「これからのう」
「これからって何するんですか?」
「当然蛇を使うのじゃ」
これはもう決めてあることであった。
「あの二万のな」
「それで一体何を」
「これでちとあのならず者国家の出先機関に行く」
言わずと知れたあのテロ支援組織である。自分達はそうではないと力説しているが説得力は全くない。何しろ拉致に関わっていたのだから。
「それでじゃ」
「で、暴走族の時と同じですか」
「そのうえでそこを蛇の巣にしてやるわ」
博士はそこまで考えていたのだった。
「二万のこの蛇達のな」
「街のど真ん中に蛇の巣をですか?」
「安心せい。ちゃんと毒はキングコブラの三十倍にしておる」
「三十倍って」
なおキングコブラに噛まれて助かった事例は一つしかない。
「威力は三十倍で量は三倍じゃ」
「そんなのに噛まれたら絶対に助かりませんね」
「しかも激痛に襲われる出血毒じゃ」
蛇の毒の種類の一つである。神経毒と出血毒があり神経毒はあまり痛まず身体の神経を破壊していく。出血毒は激しい痛みを与えるうえに身体の筋肉等を破壊していくのである。
「凄まじい苦しみじゃぞ」
「うわ・・・・・・」
小田切君も話を聞いて思わず絶句してしまった。
「そんなに凄まじい毒なんですか」
「前からあの組織は気に入らんかった」
「どうしてですか?」
「何となくじゃ」
これが理由であった。
「それでじゃ。蛇の毒の餌食にしてやるのじゃ」
「それが理由ですか」
「わしが気に入るかどうかはかなり重要な理由じゃぞ」
博士はそういったことだけで狂気の実験を行う人物なのは小田切君もわかっているがそれでも唖然としないわけにはいかない話であった。
「違うか?」
「じゃあそういうことにしておいて下さい」
「うむ、そうしておくぞ」
こうして完全に主観だけで博士は大量虐殺に向かうのであった。車椅子は周りの不穏なものを見る目なぞ全く無視して目的地に向かうのであった。傍若無人に。
第百六十四話 完
2009・2・18
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