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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第一章 無印編
  第三話        『自身の現状と車椅子の少女との出会い』

 
前書き
今回はちょろっとはやてを登場させてみました。 

 


Side シホ・E・シュバインオーグ


週末の日曜日に桃子さんの付き添いで聖祥に転入試験を受けに入った。
それは別にもう説得されてしまったので構わないのだけれど…。
桃子さん、あなたはこの短期間でどうやって一週間もせずに私の事を紹介したのでしょうか?
…なにか怖い答えが聞けそうなので黙っていることにした。


「それじゃ、私はシホちゃんが試験を受けている間にちょっと用があるからはずさせてもらうわね。お昼前には終わる予定だからそれまでには帰ってくるわ」
「わかりました」

そういって私と桃子さんは別れた。
ちなみに今日、なのはは『月村すずか』という友達の家でもう一人の友達という『アリサ・バニングス』という友達と三人でお楽しみとのこと。
後に紹介してくれるそうだ。
女性の友達というものはもちろん、男性時の友達も少なかった私にとっては実に楽しみである。
そんな懐かしくも浮かれた気持ちながら順に出されていく筆記試験を終え、試験官の先生も驚く中、転入試験はあっという間に終了した。
…いや、なんていうかさすが小学三年生のテストといったところである。
テスト用紙をすべて目を通した瞬間、答えがすぐに解かってしまい楽に終わらす事が出来た。
あまり目立ちたくないのでそこそこ悩む素振りをいれながらやっといた。
その後に面接などもあったが差し違い問題がない程度に受け答えをして終了し、「ありがとうございました」と言って、教室の外に出ると桃子さんが待っていてくれた。
それからは桃子さんと一緒に今日の夕食などはどうするかなど他愛のない話をしながらスーパーに寄ってお買い物をしたりして家に帰った。


「そういえば桃子さん。私が試験を受けている間、どこに行っていたんですか? お買い物をする前からなにか手荷物を持っていましたけど…」

私はお買い物の袋をキッチンスペースまで持っていき、それを下ろしながら聞いてみた。
すると桃子さんは楽しそうに、

「ふふふ…これよ。じゃーん! シホちゃんの聖祥の制服その他のセットよ!」
「え!? もう買っちゃったんですか!」
「ええ。通い始めは合格通知が来ていないからまだだけど着慣れておいたほうがいいでしょ?」
「桃子さん…ありがとうございます!」

私は思わず桃子さんに抱きついてしまった。
…今思い返すと結構恥ずかしいことをしているな、と自覚してしまうのだが、こう本能的?
そういった衝動が勝手に体を動かしている。
今はもう私の体なのに振り回されているなぁ…。
イリヤも母親のアイリスフィールという人に甘えていたのだろうか…?
ともかく、そんな事をしてしまったので余計桃子さんの母性を刺激してしまったらしく逆に思いっきり抱きしめられてしまった。
…大師父、リン、私はもう…もとの振る舞いはできないのでしょうか?
一途の不安が過ぎって仕方がありません。



◆◇―――――――――◇◆



…それから、一週間も経たないうちに高町家に一通の手紙がやってきた。
そこには正式にシホの聖祥大付属小学校合格通知の紙が入っていた。
なのはは、まるで自分の事の様に喜んで「一緒のクラスになれたらいいね!」とシホの手を握ってきたので、シホも「そうね」と嬉しそうに返していた。
この数日間でシホは同い年(外見上だが)のなのはと本当の姉妹のように仲良くなっていた。
特にアリサ・バニングスと月村すずかとの対面時に、

「私はシホ・E・シュバインオーグ。長いからシホだけで結構よ。これからよろしくね。アリサにすずか」

と、普通に自己紹介と挨拶をしたのだが、なぜか二人はシホの眩しい笑顔に当てられて顔を赤くした。
それに疑問顔のシホだが、なのはは「うんうん」と頷いていた。
それからシホは二人…いや三人に色々聞かれたが特に支障ない程度に受け応えをした。
そして三人からは『友達の証』といって桃子さんの了承を得て携帯を皆と一緒に選んで購入した。
そしてシホを入れて四人は友達記念日というお題目で四人で一緒に写真を撮ってもらった。
シホの携帯の画面は今その映像が納められている。




…それと、この数日の間にシホはあることに気づいた。
最初は自身の事で精一杯だったのだが、いざ慣れてきて周りを観察できるようになると、なのはの魔力量が異常なほどあることに気づく。
本人はそれに気づいていないようで当然制御も出来ているわけでもないのでシホと違い魔力が駄々漏れ状態だったのだが…。
この世界はそういった者を取り締まる機関というものがないらしく、シホも害がないなら大丈夫かと一応心に留めておきながらも見送った。

(…っていうか、なのはの歳でこの魔力量…私の世界ならまず最高クラスの魔術師になれるでしょうけど、体を触れる機会を伺って調べてみたけどなのはの体には魔術回路が一切ない。
でも、それとは別になにか小さいけど大量の魔力が凝縮されているみたいな核みたいなものがあるみたいね…?)

ちなみに自身にもその核みたいなものがあった事にシホは大いにびっくりした。
大きさはなのはより少し大きいらしい。
魔術回路とはまったく別の魔力の核がいつの間にか自身の中にある事に驚きはしたが、世界の修正の影響だろうと自己完結することにした。
それにシホ自身、魔術回路とは違いこの名称不明の核をどう使うのか理解が及んでいないので、魔術を使うのに支障をきたさないのなら別にいいかと思っていた。

次に魔術方面だが、強化に投影、それにイリヤの魔術もだが、シホは前…つまり元の世界より負担が異常に軽いと率直に思った。
それは、蒼崎橙子がこの体を作る際に負担を軽くするように設計して作ったのか? はたまた神秘を理解するものが極端に少ないのか?
…シホは前者も多少なりとあるだろうが、おそらく後者だろうと目星をつけた。
理由は色々在るが、なにかしらの機関があればやはり、なのは並の魔力の持ち主を普通にのさばらせておく訳がないだろうと感じたからだ。
そして最大の理由は自身の投影である。
投影自体も魔力を喰う訳だがやはり負担は軽く、さすがにEXやA++ランクは固有結界を発動させるか、あるいはかなり無茶をしない限りは無理だろうが…それ以下なら以前よりも軽く投影できる。
さすがに真名開放ともなると負担は変わらないみたいだがそれでも前以上に破格だ。
そして最後に、

(宝具級の投影品をいくつか投影してみたけど、ランクが殆ど劣化していない…。つまりこの世界では私の贋作も本物と変わらない性能を誇ることになる。ここまで来ると本当に異常ここに極まれリ、ね…)

シホは少し不安になったので聖祥大付属小学校に通い始めるまでの間、昼間は図書館に向かい元の世界と相違はないか色々と調べ始めた。
それでわかったことは、歴史関係についてはほとんど変わりはない…。
そして、冬木という町が存在していた事に安堵して一度行ってみたいと思っていた。
ただし、あの大火災のような大きな出来事がなかったみたいらしく、シホは壊れていないこの世界の自身はどう生きているのか興味を抱いた。





それからその図書館で車椅子の同い年の少女(この子もかなりの魔力を持っている…とシホは思った)と偶然知り合うことになった。
その少女の名前は『八神はやて』という言葉のなまりが関西弁口調の女の子で、なのは達が帰ってくるまでの時間はよく図書館で話す仲になった。
それではやても携帯を持っていたので電話番号とアドレスを交換して友達になった。

そして日にちは過ぎていき、
シホははやてに、

「ごめんね、はやて。私、もう少ししたら学校に通わなきゃいけないから会う機会が減っちゃうかもしれないのよ」
「そうなんか…寂しくなるわ」

そう言うとはやては少し寂しそうな顔になったけど、シホはすぐにそれを察して、

「でもたまには顔を見せるね! メールもするわ! もう会えないって訳じゃないんだから心配しないで、はやて…」
「うん、ありがとな。シホちゃん、その時はまた色々お話聞かせてな?」
「うん。約束するわ」

指きりをしてシホとはやては別れた。
そう遠くない未来にまた再会することも知らずに…。





そして、とうとう明日からシホの聖祥入学初日である。
これからシホの介入によって本来の歴史からどう変動するかは…誰にもわからない。
もしわかるとするならばそれは宝石翁ぐらいだろう…。


 
 

 
後書き
はやてと友達になることで今後の関係は少し変わってきます。 
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