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戦国異伝

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第十三話 家臣達その一


                  第十三話  家臣達
 信玄はだ。まずは幸村を呼んでいた。そうして彼に対して問うのであった。
「何でも最近のそなたにはだ」
「何でしょうか」
 主に対して畏まった態度で返していた。
「それがしに何か不備でも」
「不備はない」
 信玄はそれはないと言った。
「むしろ見事だと言いたい」
「といいますと」
「家臣を手に入れたらしいな」
 こうその幸村に対して告げた。
「そうだな」
「あの者達のことですか」
「そうだ、十人だったな」
「はい、どの者も素晴しき男達です」
 幸村はこう主に話した。
「それがしには勿体なき者達です」
「いや、それは違うぞ」
「といいますと」
「御主はそこまでの男なのだ」
 そうだというのである。
「それだけの者達を召抱えられるだけのだ。そこまでの男なのだ」
「そうなのですか」
「十人か。全て名付けてだ」
「名付けて?」
「真田十勇士か」
 信玄はこの名前を言ってみせた。
「まさにそれだな」
「真田十勇士ですか」
「そうだ、この名前はどうだ」
「有り難き幸せ」
 幸村は一旦目を閉じて主に礼を述べた。
「御館様につけて頂いたその御名前」
「気に入ったか」
「あの者達に相応しきもの。さすればそれがしは」
「うむ」
「あの者達が来ただけはあるような。そうした男になってみせましょう」
「そうだ、それでこそだ」
 信玄は今度は幸村の言葉に感心してだ。こう言ったのであった。
「それこそ天下一となれる者だ」
「天下一の男にですか」
「わしは天下を治める」
 これが信玄の望みだった。彼は東の甲斐にあってもそこからだ。遠くにある京の都を見据えているのだ。それが甲斐の虎なのだ。
「そしてそなたは天下一を目指すのだ」
「はっ、それでは」
「目指せ、よいな」
「そうします。では御館様」
「うむ」
「それがしはこれで」
「兵達の鍛錬だな」
 武田軍の精強さはその鍛錬の徹底にもあった。規律を厳正に守らせることにその鍛錬、そして信玄をはじめとした将の資質がだ。武田を恐るべき軍にしているのである。
「それだな」
「はい、それがしも鍛えて参ります」
「励め、存分な」
「有り難き御言葉、それでは」
 幸村はこれでその場から姿を消した。するとだった。
 信玄の前に男達が現れた。彼等はそれぞれ名乗るのだった。
「武田信繁」
「武田信廉」
「武田勝頼」
「秋山信友」
「穴山信君」
「甘利虎泰」
「板垣信方」
「一条信龍」
「小幡虎盛」
「小幡昌盛」
「飯富虎昌」
「高坂昌信」
「三枝守友」
「真田信綱」
「真田幸隆」
「多田満頼」
「土屋昌次」
「内藤昌豊」
「馬場信春」
「原虎胤」
「原昌胤」
「山県昌景」
「山本勘助」
「横田高松」
 この者達が出て来てだ。信玄の前に座し一礼をしたうえで控える。無論嫡男の義信もいる。彼等が揃ったのを見てだ。信玄はあらためて言うのであった。 
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