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魔法少女リリカルなのは 在り来りな転生記

作者:秋陽
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第三話 時期はずれの転校生

 ジリリリリ ジリリリリ

 カーテンの隙間から入ってくる朝の日差しとともに、けたたましい目覚まし時計の音が鳴り響く。
 こんな朝早くに起きたくない……が、今の俺は小学生。転校初日から遅刻、ということにもいかないので渋々起きることにする。

『おはようございます、マスター』
「ん、おはよう」

 眠い体と格闘しているときに挨拶してくるセレネに挨拶を返しながら俺は洗面台で勢い良く顔を洗う。

「少しはマシになったな……。まだ眠いが……」

 そう言いつつも一日の活力源である朝食を作っていく。転生前は一人暮らしも経験済みなので手際は良い……はず。
 って、熱っ!
 そんな事を言っているそばから火に当たりかけて火傷をしそうになる。やはり、大人の体と子供の体では少し勝手が違うらしい。

 そんなこんなで試行錯誤をしながらの朝食作りを終えると、学校へ行くのにはちょうど良い時間となる。
 これが普段ならば少し早いぐらいだが、今日は転校初日。わざわざ担任の教師から今日は早く来てほしいなどという旨が伝えられている。
 めんどくさいな、などと思いながらも、俺はもしもの時のためにセレネとともに学校へ向かった。(腕輪として着けるのではなく、紐を通して首からかけ、服の中に入れることで周りからは判りにくいようにしている)




 学校へ着き職員室でめんどくさい手続きを終わらせた後、担任の教師に連れられ現在、俺はクラスの扉の手前にいる。
 そういえばどこかの団体の団長さんの願いを叶える副団長兼超能力者も、珍しい時期に転向してきたから勧誘されたんだっけか?

「では、皆さんに新しいお友達を紹介します。どうぞ」

 そんなお決まりとも言える言葉に続き、扉を開けて教室の中に入る。 
 教室に入った俺は適当に挨拶をするが、何か違和感を覚える。

「では、あなたは一番右側の奥の席。高町さんのとなりに座ってください」

 違和感の理由はこれだ、とその言葉で俺は理解する。前世で見た(無理やり友人に見せられた)アニメとは席順が違うのだ。
 でも、高町と仲良くなっておけば原作介入とかはしやすいかもしれない。
 そういう意味ではラッキーかもしれないなと思いながら自分の席まで歩いていこうとする。

「なぁ、セレネ。あいつ転生者か? というか原作はもしかしてもう始まってる?」

 俺は小声でセレネに自分の疑問と思ったことを聞く。もちろん歩きながらだが。
 一つ目は、高町の横にいる特徴的な髪型(青髪をツンツンと立たせている)をした現在の転校生紹介に全く興味が無さそうな少年と、二つ目は同じくどこか上の空の高町の様子を見ての俺の疑問だ。

 普通、転校生が来たのにそれに対して興味の無さそうな小学三年生がいるだろうか? 
 ……あぁ、問題なく居たな。
 前世の記憶を頼りにそんな事を考えていると全く同じ状況で、興味無さそうにしていた自分が映る。
 自分で言うのもなんだが可愛くないガキだったな……。そんな事をしみじみと思い出す俺。何か話がずれているのは気のせいだと思いたい。

『……はい。おそらく原作は始まっています。そしてマスターの言うとおり彼も転生者でしょう』
 二人から相当な魔力が感じられます、とセレネは付け加えながら俺に説明する。

 なんだろう、とりあえず今から原作介入しても何か邪魔にしかならないような気がしてきたな……。
 そんなん事を思いながら席につくと同時にそこに突っ伏す俺。

「え~っと、転校生さんだよね? 私は高町なのはっていうの。名前は……大地くんだね! これからよろしく」

 そう言って笑みを浮かべて俺に話しかける高町。先ほどまではぼーっとしていたが俺に気付いたらしい。

「ん、よろしく。」

 一応顔を上げて高町に対して返事を返す。女子どころか男子にすら殆ど関わりの無かった俺にはどう返事していいのか解らなかったが、多分間違ってないはず……。
 横の転生者に睨まれた気がするが気のせいだろう。



 転校生ということもありクラスメイトが休み時間の間に話しかけてくれたおかげでなんとか眠らずに数時間。
 やっと待ちに待った弁当の時間になる。しかし……、
「しまった……」

 唯一の楽しみであるはずの弁当だが、完全に家に置いてきてしまったのだ。
 くっ、飯がないなんて……。今日はこれだけを楽しみにしていたというのに……。

「……これをやろうか?」

 そう言ってパンを差し出してくる転生者。

「名前は何だっけ?」
「……あぁ、俺の名前は佐倉桐仁(さくらきりひと)っていうんだ。よろしく」
「パンもらってもいいのか?」

 ほぼ無言で頷く佐倉。クラスメイトとは言え殆ど知らない人間にあげてもいいのだろうか?
 俺としてはものすごいありがたいが。

「大地くん、桐仁くん。一緒にご飯食べよ」

 そう言って俺たちを誘ってくる高町。他の二人にはちゃんと俺のことは了承済みなのだろうか?

「あなた転校生よね? 名前は確か、青崎大地……よね?」
「あぁ、合ってるよ」

 そう言ってくるのは金髪少女のアリサ・バニングス。隣にはもちろん月村もいる。
 後から佐倉に聞いた所によると、何時もはあの三人と佐倉だけで食べているらしい。
 何か気まずくなったりしないのだろうか? 慣れているならそんな事もないのだろうが……。
 その後は、バニングスや月村からの質問に答えながら結構楽しい食事の時間は終わっていってしまった。
 楽しい時間はすぐ終わってしまう、とはよく言ったものだ。そう思えるほど、先ほどまでの時間とは比べ物にならないぐらいに早く時間が進んでいった。
 
 

 
後書き
とりあえずなのは達のクラスに転向してきた大地。
しかしそこには先に来ていた転生者が。
大地はどのように原作介入するのか?
まぁ、まだまともに筆者も考えていませんが……(ぇ?

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