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万華鏡

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第五話 豚骨ラーメンその十二


「だからね」
「そうね。それじゃあその時は図書館で」
「丁度うちの学校凄く立派な図書館もあるし」
 とにかく設備が充実している学校だった。
「いいと思うわ」
「どの図書館でするの?」
 里香は自分の提案に少し誇らしげになっている彩夏に問うた。
「うちの学校って各学科にあるけれど」
「あっ、そういえばそうよね」
「でしょ?それも本格的な建物が独立した図書館がね」
「あるわよね。確かに」
「それでどの図書館にするの?」
「じゃあ普通科かしら」
 五人共普通科だ。尚この学園では普通科が一番多い。
「そこの図書館で」
「あそこでするのね」
「うん。生徒はどの図書館を使ってもいいらしいけれど」
「あの図書館が一番近いし」
「しかも一番大きいのよね」
「そうよね。あの大きさはね」
 どうかとだ。里香は少し嬉しそうに言った。
「いいわよね」
「あれっ、里香ちゃん図書館好き?」
「うん。図書館とか博物館とか美術館とかがね」
 そうした学術的な施設なら全てだというのだ。
「好きよ」
「そうなの」
「あと動物園とか水族館とか」
 そうした場所もだった。
「あと鉄道館も」
「えっ、それもなの」
「鉄道も好きなの」
 意外な趣味も見せる里香だった。
「ああしたのもね」
「そうなの。好きなの」
「うん。八条鉄道の電車も」
「全国開通してるあそこのも?」
「好きなの」
 里香は彩夏に目を輝かせて話す。
「関西は私鉄が多くていいわよね」
「本当に電車好きなのね」
「旅行とかでも電車に乗ってると」 
 そうすればだというのだ。
「それだけでもう凄く嬉しいの」
「里香ちゃんって鉄ヲタだったの」
「鉄ヲタって?」
「鉄女っても言うわね」 
 彩夏はこの言葉も出した。
「所謂鉄道マニアのことよ」
「私がそれなの」
「よく電車の写真とか撮る?」
「時々ね」
 実際にそうするというのだ。
「そうしてるわ」
「じゃあやっぱり鉄女よ」
「それで鉄ヲタっていうのね」
「うん。そう見えるけれど」
「だったらそうなのかな」
 言われてこう言った里香だった。
「私って鉄道マニアなのね」
「だって。写真撮るの好きよね」
「ええ」
「乗るのも」
「図鑑集めるのも好きよ」
 里香はまた自分から言った。
「模型はお兄ちゃんが持ってるけれどね」
「ふうん。お兄さんがなの」
「お兄ちゃんもお姉ちゃんもそういうの好きなの」
「三人共鉄道マニアなの」
「私とお姉ちゃんは子供の頃にお兄ちゃんに教えてもらって、だけれどね」
 つまり兄の影響が強いというのだ。 
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