万華鏡

「作ったことあるんだよ。麺は市販のだけれどな」
「スープは自分で作るの」
「まあ豚骨だとな」
　豚骨が必要なのは言うまでもない。
「そこに葱に人参、玉葱とかもいるな」
「お野菜も？」
「野菜が豚骨とかトリガラのアクを消してくれるし味も出してくれるんだよ」
「ううん、そうなの」
「それに野菜からも栄養が出るしな」
　それもあった。
「だからラーメンのスープには野菜も入れるんだよ」
「そうするのね」
「あと生姜も入れてな」
「結構手間かかるのね」
「スープはラーメンだけじゃなくて他の料理にも使って」
　ただラーメンで終わりではないというのだ。
「そうするからたっぷり作るんだよ」
「何か大変なのね」
「これで子供の頃から料理が好きでさ」
　笑ってだ。美優は里香達に話していく。
「結構色々なもの作られるんだよ」
「そうだったの」
「じゃあ今度あたしの家に来てな」
　そうしてだというのだ。
「皆でラーメン食おうな」
「美優ちゃんってお料理できるの」
　琴乃は美優の話を聞いてそのうえで目をしばたかせて言う。
「何か凄いね。私お料理しても」
「できるよな、琴乃ちゃんも」
「皆味はいいって言ってくれるけれどね」
　だがそれでもだとだ。琴乃は苦笑いと共にこう言うのだった。今はきつねうどんを食べながら。
「外見がね」
「酷いんだな」
「トマトと玉葱、チーズのリゾットを作ってもね」
　イタリア料理だ。所謂西洋のお粥だ。
「クリーチャーみたいって言われるの」
「クリーチャーって何なのよ」
　景子は琴乃の話を聞いて首を少し捻って述べた。
「普通それはないでしょ」
「けれどそう言われるのよ」
「クリーチャーって？」
「お父さんにもお母さんにも弟にもね」　
　つまり家族全員に言われることだ。
「今にも蠢きそうだって」
「リゾットが？」
「スペアリブを焼いてもね」
　今度はこれだった。
「何か。ガマガエルみたいって」
「スペアリブは豚肉よね」
「それでもそう言われるの」
　まるでガマガエルだと言われるというのだ。
「そうね」
「一体どんなのなのよ」
「ううん。私もよくわからないけれど」
「そうなの」
「けれど味はいいって言われるから」
　肝心のそれはだというのだ。
「時々作ってるけれどね」
「そうなの。まあ私はね」
「景子ちゃんは？」
「実は和食しか作られないのよね」
　景子は景子で少し困った顔になっている。ラーメンを食べてそれと一緒に炒飯も食べている。彼女の目今日の昼のメニューはそれだった。
「そうなのよね」
「和食専門なの」
「お家が神社のせいかしら」
　景子は自分ではそう分析した。