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万華鏡

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第十六話 プールと海その七


 だからそれで今もこう言うのだ。
「それで納得してるから」
「じゃあ理不尽なこととかも」
「やられたことも言われたこともないわ」
 里香は琴乃にも述べた。
「そういうのもね」
「それで里香ちゃんもそうなったのね」
「そうって?」
「凄く優しくて色々と教えてくれて」
 琴乃はにこりとした目で里香にこう話す。
「いつも私達を助けてくれるでしょ」
「それが私なの」
「そう。だから私里香ちゃん大好きなのよ」
「あたしもだよ」
「私もね」
「やっぱり私も」
 美優に景子、彩夏もだった。
「里香ちゃん癒し系なんだよな」
「一緒にいると気持ちが和らいで」
「ほっとする感じなのよ」
「お水っていうかお風呂っていうかね」
 また琴乃が目をにこにことさせて話す。
「そんな感じなの」
「私お風呂なの」
「少なくともシャワーじゃないわね」
 そうだというのだ。
「穏やかになれるっていうか」
「お風呂ねえ」
「そう。シャワーよりお風呂の方が癒せるじゃない」
「いいわよね、お風呂って」
 里香も風呂好きだ。それで言うのだった。
「何か入ってると身体が奇麗になるだけじゃなくて」
「そうよね。湯舟に入ったらあったまるだけじゃなくて」
「心まで落ち着いて癒されてきて」
「お風呂ってそういうものでそれで」
「そう、里香ちゃんもね」
「お風呂なのね、私って」
 里香は琴乃の話をここまで聞いて微笑んだ。そして。
 その琴乃達にあらためてこう提案したのだった。
「ねえ。それじゃあね」
「それじゃあ?」
「それじゃあって」
「皆でお風呂行かない?」
 先の八条寺に続いての提案だった。
「そうしない?」
「お風呂って」
「そう。スーパー銭湯ね」
「八条温泉?」
 琴乃はこの温泉のことかと察した。やはり八条グループが経営している全国的なスーパー銭湯のチェーン店だ。
 この八条町にその第一号店があるのだ、それで琴乃もこの温泉のことと考え里香に言ったのである。
「あそこ?」
「そう、あそこだけれど」
「そうなの。そういえば最近」
「行ってないの?」
「高校に入学してからね」
 それからだというのだ。
「行ってなかったわ」
「じゃあ余計にね」
「行こうっていうのね」
「そう。どうかしら」
「ううん、そうね」
 琴乃は里香の言葉に腕を組んで考えだした。そして暫くしてからこう答えた。
「八条温泉の入浴料って」
「タオルとか入れて千円よ」
「それ抜きにしたら七百円よね」
「そう、学生割引もあるわよ」
 これはサービスだ。
「大学生までは半額よ」
「三百五十円ね」
「タオルとか抜きだとね」
「それでシャンプーやボディーソープは向こうにあって」
 スーパー銭湯の常だ。尚大衆浴場では石鹸を安く買える。 
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