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万華鏡

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第十一話 流鏑馬その一


                  第十一話  流鏑馬
 五人は簡単な話の後で景子の家である神社に集まった。景子の部屋に入りそのうえで車座になってお茶を飲みながら話をしていた。
 美優はお茶菓子である羊羹を食べながらこう言った。
「あれ、確かにな」
「そう、物凄く難しいのよ」
「だよな。あたしもやったことないけれどな」
 こう景子に返す。
「見ただけでな」
「馬を手綱なしで操ってね」
 勿論落馬なぞ論外だ。
「駆けて揺れる中で的を射ないと駄目なのよ」
「条件厳しいな」
「滅茶苦茶厳しいでしょ」
「不可能じゃね?」
 こうまで言う美優だった。
「ちょっとやそっとじゃな」
「だから神社も困ってるのよ」
 ハ地上神社の方でもだというのだ。
「二人いて欲しいのにね」
「一人だけだからなのね」
「そう、もう一人いて欲しいのにね」
 景子は今度は里香に話した。
「見つからないよね」
「それで私達に、なのね」
「いい知恵借りたいの」
 景子の今度の言葉は切実なものだった。
「本当にね」
「知恵、ね」
「どうしたらいいのかしら」
「ううん、そうね」
 五人の中で知恵袋格の里香はまずはこう言った。
「宣伝をしたらね」
「それでよね」
「それを見た人が来てくれる可能性があるから」
「それもうやってるのよ」
 既にだと景子も答える。
「貼り紙とかしてね」
「神社に?」
「神社にもしてるし町にもね」
「してるのね」
「そろそろ大学とか高等部にもって思ってるけれど」
「中等部にはしないの?」
 横から彩夏が問う。
「そこには」
「中学生じゃどう考えても無理だから」 
 景子は首を捻ってこう彩夏に返した。
「だから中等部と初等部、それに幼稚園にはね」
「貼ってないのね」
「大学と高等部にって考えてるの」
「そうなのね。けれどね」
 ここで里香が言ってきた。
「それ中等部や他の場所にも貼るべきよ」
「えっ、けれど中学生や小学生だと」
 景子は困った顔になってこう里香に返した。
「馬も弓も」
「操れないっていうのね」
「子供だから。中学生だって体格がよくないから」
 だからだというのだ。
「無理よ」
「違うわ。確かに中学生の子だと無理だけれど」
 それは里香も認める。だが、だった。
「先生達がいるから」
「先生?」
「そう、先生の中には出来る人がいるかも知れないじゃない」
「言われてみれば」 
 ここで景子もそのことに気付いた。
「先生達もいるわね」
「学校にいるのは私達だけじゃないから」
 生徒だけではないというのだ。
「だからここはね」
「中等部とかにもなの」
「貼り紙貼った方がいいわ」
「わかったわ。それじゃあね」
「あと。大学でもそこでもそうだけれど」
 ここでまた言う里香だった。
「貼る時にはちゃんと許可を得てね」
「あっ、そうね」
 景子はこのことにも気付いた。 
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