万華鏡
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プレリュードその十二
「いや、これが凄く可愛い娘でさ。君達三人共かなり可愛いけれど」
「告白はですか」
「募集しないんですね」
「悪いね。このことは言っておくよ」
こう言うのだった。
「本当に悪いね。いや、幸せな男は辛いよ」
「はあ。そうなんですか」
「それはいいことですね」
「だろ?本当に幸せだよ」
まだ言う先輩だった。
「さっきも凄い奇麗な娘が入部してきたけれどね」
「凄い美人?」
「そんなにですか」
「うん。アジアンビューティー、いや」
先輩は上機嫌のまま三人に話してくる。
「クールビューティーっていうかな。そんな感じのね」
「そうした美人なんですね」
美優は先輩の話を聞いて述べた。
「一年生で」
「うん、一年生だよ」
「この学校は色々な生徒が集まりますけれど」
美優は今度はこうしたことを言った。
「そうした娘もいるんですね」
「みたいだね。いや、本当に日本的なね」
そうした美人だというのだ。
「まあ君達も負けていないから安心してよ。それにしても」
「それにしても?」
「っていいますと」
「一体」
「三人共タイプが違うね」
三人それぞれの顔を見てだ。先輩は言ったのである。
「見事な位ね。タイプが違うね」
「そういえば確かに」
「私達ってそれぞれ」
「全然違うよな」
琴乃も里香も美優もだ。お互いを見てだ。
それぞれあらためて認識した。タイプが全く違っていた。
その三人にだ。先輩はこんなことを話しもした。
「それでいいんだよ」
「それぞれ個性が違って、ですか」
「それでいいんですか」
「同じじゃなくて」
「うん。バンドっていうのはね」
軽音楽部ではというのだ。
「個性が勝負だからね」
「それぞれ違う個性じゃないとですか」
「駄目なんですか」
「そう。それぞれ違う個性であってこそ」
こうも言う先輩だった。
「面白いんだよね」
「そういえばそうですね」
美優はその先輩の話に対して頷いてからこう言った。
「皆が皆同じ個性だとそれこそ」
「そうだろ。面白くないだろ」
「特にバンドは」
「そう、何処かの男性アイドルグループでもそれぞれ個性があるじゃない」
それでだというのだ。
「だから女の子のバンドもね」
「個性ですか」
「それが必要なんですね」
「学生のバンドだとね」
それならばという話にもなる。
「あれだよ。歌唱力とか演奏技術も大事だけれど」
「個性ですか」
「それもですか」
「正直アマチュアバンドで楽しむものだし」
この前提もだ。先輩は話した。
「努力しないと駄目だけれど技術は二番目かな」
「まずは個性ですか」
「それが第一ですか」
「そうなるんだよね」
こう三人に話すのだった。
「実際のところはね」
「個性ですか」
「それが第一ですか」
「そう。それぞれの個性を出す」
先輩はこれを三人に話す。
「それが大事なんだよ」
「ううん、そうなんですか」
「それが大事になるんですか」
「僕はそう思うよ。じゃあこれから宜しくね」
先輩は最後に微笑んで三人に話した。それが終わってからだ。
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