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万華鏡

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第八話 それぞれの家でその十三


 それでルーレットに手を向けながらこうも言うのだった。
「それ次第でな」
「全然違うわよね」
「人生って」
「そうだよな。運がよかったらな」
 それだとだ。美優は琴乃と里香に応えて言う。
「事故に遭わないしな」
「今の私みたいによね」
「そうそう、それにな」
 それに加えてだった。
「いい人に出会えたりしてな」
「それも運なのね」
 景子が問う。
「いい人に出会えるのも」
「そうだろ?運が悪かったら部活とかでも碌でもないのと出会ってな」
 これは実際にある。例えどれだけいい活動をしている部活でもそこにいる部員までいいは限らない、これは美優達がいつも感じていることだ。
「変な奴と出会ったらな」
「それで、よね」
「酷いことになるわよね」
「だからな」
 それでだというのだ。
「あたしにしてもな」
「美優ちゃんも?」
「そうだっていうの?」
「ほら、今だってさ」 
 ルーレットを回して出たところに行くと。
 美優はスポーツ選手だが怪我をしてしまった。それで一回休みになって言うのだった。
「こうなるからな」
「怪我ね」
「そうなるのね」
「軽い怪我だったけれどな」
 再起不能クラスではなかったがそれでもだった。
「こうして一回休みになるだろ」
「それも運なのね」
「そうなるのね」
「だろ?やっぱり人生って運の占める割合多いよ」
 美優はこう三人に話す。
「何だかんだでな。けれどな」
「けれど?」
「けれどっていうと?」
「運以外じゃないからな」
 運が人生に占める割合が多いことは確かだがそれでもそれだけで人生が全て決まるものではないというのだ。
「実力もあるしな」
「そうね。実力がないとね」
「どうしようもないから」
「運も実力のうちっていうけれど」
 琴乃と里香に続いて景子も言う。
「つまり実力っていうのは運すら含んだね」
「確かなものだよな」
「ええ、自分の力はね」
 そういうものだというのだ。その運すら内包するまでに強いものだというのだ。
 景子はこのことを言う。そしてさらにこうも言うのだった。
「あと。私のお家神社だから」
「あっ、神様?」
 琴乃が問うた。
「神様ね」
「そう。神様が守ってくれるから」
 このことを言うのも忘れなかった。景子は今はにこにことしている。
「そのことも忘れないでね」
「神様ね。けれど助けてもらうにはね」
「言いたいことはあれよね」
「そう、あれ」
 琴乃は少し微妙な顔になって言う。
「お賽銭とかよね」
「神社だからね」
 だからそれはだというのだ。
「まあ言わない約束でね」
「神社のお約束なのね」
「神社もお寺もね」 
 両方だった。つまり神も仏も同じだというのだ。
「それはお約束だから」
「それ位はっていうのね」
「それでお願いね」
 景子はくすりとした顔で琴乃に話す。
「神様へのお願いってことでね」
「そうなるのね」
「けれどお守りに破魔矢にね」
 こうしたものの話にもなる。神社には欠かせないものだ。 
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