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仮面ライダー エターナルインフィニティ

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第二十二話 集結乙女その九

 イエヤスの胸も見る。今度はこう言うのだった。
「中の人もまた同じか」
「言いたいことはわかってるわよ。それによね」
「貴殿とは確か庭球の方でも一緒だったが」
「そっちでも胸はなかったわよ」
 眉を顰めさせて反論するイエヤスだった。イエヤスは桃色でだ。紫の鳥のある浴衣だ。
 その浴衣姿の自分の胸をちらりと見てからだ。ミツヒデに言い返すのである。
「とある先生にはもっとないって言われたし」
「そうだったのか」
「胸の話は大嫌いよ」
 むっとした顔で言うのだった。
「そりゃ豊かな人もいるでしょうけれどね」
「同じ中身でもだな」
「そこはあんたと同じよ」
 またミツヒデに返す。
「そういうことよ」
「そういえば私も何か」
「そう思うでしょ。ええと」
 ここでだ。イエヤスはだ。
 美波に顔を向けてだ。そして同意を求めたのである。
「胸についてはね」
「それね。男が言ったら速攻でぶっ飛ばしてるわよ」
「けれど私もないから」
「中身もよね」
「同じだから別にいいでしょ」
「まあね。それはね」
 美波も頷くことができた。そうしてだ。
 彼女はここで幸村とローズ、当然浴衣姿の二人を引っ張ってきてだ。そして言うのだった。
「この娘達だってそうだし」
「中身も外もなのね」
「そう、ないから」
 何がないのかは最早言うまでもなかった。
「同志よ、うち等の」
「胸なんかいらないのよ」
 イエヤスは力説する。
「そんなのにこだわっているうちはね。小さい小さい」
「そうそう、全く以て同感よ」
「私はあくまで胸については求めないわ」
 求めてもだった。もっと言えば。
「求める方がおかしいのよ。絶対にね」
「こんなところに同志がいるなんて思わなかったぞ」
「ローズも」
 幸村とローズはイエヤスの主張に全面的に同意だった。そしてだ。
 こっそりとだ。英理子のその胸を見て言うのだった。
「中には中身も凄いのがおるしのう」
「ローズ達は中身もなのに」
「というかあれじゃない?技能映像だったかしら」
 美波が彼女達共通の話題を出した。
「あんた達の所属先とうちの所属先って姉妹みたいなものだけれど」
「うむ、胸はない者が多い様じゃな」
「平均的に見て」
「特に。うちは関係ないけれど」
 前置きしてから話す美波だった。
「アイドルとかマスターに関係があると」
「胸がない方が多いのう」
「違う人もいるけれど」
「割合的に胸のない人が多いじゃない、中も外も」
「その通りじゃ。わらわ等はアイムとかいうがのう」
「それでも。技術映像とは同じ系列だし」
 幸村とローズはどちらがどちらなのか全くわからないまでにそっくりだった。
 その二人がだ。同時に話していくのだ。それを傍から聞く面々は戸惑いを禁じ得なかった。
 それでだ。密かにだ。ケンシンが愛子に尋ねた。
「区別がつかないのだが」
「うん、僕も実は」
「そうだな。拙者もこうした相手がいるとは思うが」
「いると思うよ、ケンシンさんも」
「その場合は気をつけておくか」
「その方がいいね、お互いにね」
 こうした話をするのだった。そしてだ。
 ケンシンは梅を食べつつ酒を飲む。そのうえで言うのだった。
「ふむ。やはりこれだな」
「御主はまたそれか」
「酒は拙者にとって命だ」
 杯を手にシンゲンにも返すケンシンだった。
「これと戦なくしてどうして生きられようか」
「それはわかるが程々にしろ」
 飲み過ぎるなというのだ。
「全く。どれだけ飲めば気が済むのだ」
「酒は百薬の長だ。だからこそだ」
「飲むというのか」
「とことんまでな」
 言いながらどんどん飲むケンシンだった。何はともあれだ。
 彼等は花火や西瓜、それに酒を楽しみつつ親睦を深めていった。そうしてこれからのスサノオとの戦いを前にしてだ。心を通わせ合うのだった。


第二十二話   完


                           2011・12・19 
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