ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第三十七話 魔王
「全く。冗談じゃないわ!!」
闇慈がアザゼルと接触した翌日。このことを放課後の部室でリアスに話すと激怒した。この事を聞いた一誠はそれに続き、自分も対価を貰うために出て行ったときにアザゼルと会ったと話した。
「確かに悪魔、天使、堕天使三すくみのトップ会談がこの町で執り行われるとは言え、突然堕天使の総督が私の縄張りに侵入し、営業妨害していたなんて・・・(ゴゴゴゴ)」
(リアス先輩・・・何時に無く凄まじい殺気だよ)
仕方の無いことだった。リアスは自分の眷属を大切に可愛がる上級悪魔。自分の所有物を他人に扱われることを酷く嫌う性格なのだから。
「でも何でアザゼルは僕やイッセーに接触したんでしょうか?」
闇慈はそれが腑に落ちないなのかリアスに尋ねた。ここでイッセーが疑問に思っていたことを言う。
「多分俺の推測じゃ。俺たちのセイクリッド・ギアが目的なのかもしれないぜ?闇慈」
その推測に祐斗も付け足す。
「考えられるね。アザゼルはセイクリッド・ギアに非常に興味を抱いている人だと聞いているよ。ましてやロンギヌスとなると尚更だよ」
「しかしどうしたものかしら・・・。あちらの動きが分からない以上、こちらも動きづらいわ。相手は堕天使の総督・・・下手に接することは出来ないわね」
リアスは相手の行動を読み、作戦を考える策略派なために手に顎を乗せ考え込んでいた。しかしここで第三者の声が入ってきた。
「アザゼルは昔から、ああ言う男だよ、リアス」
闇慈達は声が聞えた方を見てみるとリアスと同じ紅髪の男性が微笑みながら立っていた。朱乃達、悪魔になって長い月日が経っているリアスの眷属たちはその場で跪いた。
「お、お、お兄様!!」
(っ!!この人が・・・リアス先輩のお兄さん・・・『サーゼクス・ルシファー』か)
闇慈は初めて会うサーゼクスに顔をしかめた。闇慈は『あの事』をまだ根に持っているみたいだった。
「アザゼルは先日のコカビエルのようなことはしないよ。今回は悪戯みたいなものかな。しかし、総督殿は予定よりも早い来日だったみたいだな。それから、くつろいでくれたまえ。今日はプライベートで来ている」
サーゼクスがリアスの眷属たちに促すとゆっくりと立ち上がった。
「お兄様。どうしてここに?」
「何を言っているんだ?授業参観が近いのだろう?私も参加しようと思っていてね。妹が勉学に励んでいる姿を見ておきたいと思ったのさ」
(この人って・・・ある意味、シスコン?)
闇慈が心の中で軽い溜め息をついているとサーゼクスと一緒に居たグレイフィアにリアスが尋ねた。
「グレイフィア。貴女ね?お兄様に教えたのは」
「はい。学園からのスケジュールは私の元に届きます。そして私はサーゼクス様のクイーンでもありますので、主にも報告しました」
グレイフィアの話にサーゼクスが続ける。
「報告を受けた私は魔王職が激務であろうと、休暇を入れてでも妹の授業参観に参加したかったのだよ。勿論、父上にも報告してある。それにこれはある意味仕事でもあるんだよ」
「どう言う事?お兄様」
「今度の会談はこの学園で執り行おうと思っていてね。その下見でもあるんだよ」
「っ!?ここで?本当に?」
「ああ。この学園には何かしらの縁があるようだ。私の妹、伝説の赤龍帝、聖魔剣使い、聖剣デュランダル使い、魔王セラフォルー・レヴィアタンの妹が所属し、コカビエルと白龍皇が襲来してきた。これは偶然とは考えられない事象だ。様々な力が入り混じっている。そのうねりが強くなってるのが兵藤一誠くん・・・赤龍帝だと思うが?」
サーゼクスは一誠に目を向けた。一誠は魔王であるサーゼクスに見られ少し緊張しているみたいだ。
「そして彼、黒神闇慈・・・黒衣の死神もね」
「・・・」
今度は闇慈に視線を移したが、闇慈は何時変わらず態度を変えなかった。
「君の力は本当に興味深い。先の大戦の英雄・・・コカビエルを完膚ないまでに叩きのめしたのだからね。君は悪魔にはならないのかい?」
「・・・僕は悪魔にはなりません。貴方のような人が居る限りはね」
闇慈のサーゼクスに対する暴言に近いこと聞いたリアスは少し声を張り上げて言った。
「アンジ!!貴方、お兄様に何て事を!!」
「思ったことを言って何が悪いんですか?リアス先輩。僕は悪魔じゃない。それに僕はこの人のやったことをまだ許してはいませんよ」
「お兄様が一体何をやったと言うの!?」
「忘れたとは言わせませんよ!!部長!!」
闇慈の少し殺気の入った怒声に周りは少し緊張が走った。
「この人が魔王になったせいで部長がどれ程つらい思いをしたか。しかも、人生の中で最も大切なことを『ゲーム』で解決しようとしたこの人を僕は許すわけには行きません!!例えそれが魔王であろうと、部長の兄であろうと!!」
「アンジ・・・貴方」
「君の話はよく分かったよ、アンジくん」
そう言うとサーゼクスが闇慈に近寄った。
「あの件に関しては私も父上も深く反省している。君の言うとおり、力で解決しても何も解決しなかった。君の意見は正しいよ。本当に悪かった」
闇慈はしばらくサーゼクスの眼を見て、口を開いた。
「その言葉が嘘じゃないことを信じています。それから・・・」
闇慈はサーゼクスの足元に跪き、頭を下げた。
「今までの貴方を罵る言動。お許し下さい」
「君が怒るのも最もだ。頭を上げてくれ、アンジくん」
「ありがとうございます」
そう言うと闇慈はゆっくりと立ち上がった。
「しかし。魔王である私を前にして迷い無く自分の意見を言うとは、中々根性があるやつじゃないか」
「それが僕と言う人間ですから」
「ふふっ。私は君が気に入った。これからも妹のことをよろしく頼むよ。妹に遣える『死神』としてね」
サーゼクスは闇慈に握手を求めてきた。闇慈はそれに笑顔で答えた。
「はい!!」
その後、ゼノヴィアもサーゼクスと挨拶を交わし、サーゼクスとグレイフィアの宿泊はイッセーの家ですることとなった。
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