ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第二十九話 憤慨
「あ・・・。貴女方は!?」
「むっ?貴様は!?」
「あっ。教会を侮辱した人!!」
闇慈が襲撃を受けた翌日の放課後。闇慈はいつも通りに部活に参加するため部室に向かった。しかし中に入ってそこで見たのは昨日、闇慈を襲った二人の巡礼者だった。
「何だよ闇慈。二人を知ってるのか?」
一誠は3人の反応に疑問を抱いたのか闇慈に問いかけた。
「まあ。昨日・・・ちょっとね」
「何?イッセー君。この人と知り合いなの?」
栗色の髪をした女の子が一誠に尋ねた。それに伴い闇慈は一誠と彼女の関係をリアスに尋ねた。
「リアス先輩。イッセーと彼女の関係って?」
「彼女の名前は『紫藤イリナ』。イッセーの幼馴染だそうよ」
「えっ!?イッセーの幼馴染!?」
悪魔の幼馴染が聖職者と言う何やら不思議な取り合わせだった。そしてその紹介に青髪の女の子も紹介をしてきた。
「私も名乗っておこう。私は『ゼノヴィア』だ」
「では僕も自己紹介を。僕は『黒神闇慈』です。先に言っておきますが僕は悪魔ではないですからね?といっても『訳有の人間』ですけどね」
「そうか。だが、貴様の教会を侮辱したことに変わりはないからな?」
ゼノヴィアと闇慈の自己紹介が終わったことを確認したイリナは本題に入った。
「先日、カトリック教会本部ヴァチカン及び、プロテスタント側、正教会側に保管、管理されていた聖剣エクスカリバーが奪われました」
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ゼノヴィアが所持している剣は[破壊の聖剣]『エクスカリバー・ディストラクション』。そしてイリナが所持している剣は自由自在に形を変化出来る[擬態の聖剣]『エクスカリバー・ミミック』。それの他に5本のエクスカリバーが教会で保管。及び保護されていたが先日。[神の子を見張る者]『グリゴリ』と言う堕天使の組織がその内の三本が盗まれ、犯人はこの地(日本)に持ち運んだらしい。犯人は組織の幹部。堕天使『コカビエル』。古の戦いから生き残っているとされる上級堕天使の中でも強力な力を有している人物だった。
「私達の依頼。いや、注文とは私達と堕天使のエクスカリバー争奪の戦いにこの町に巣食う悪魔が一切介入してこない事。つまり、そちらに今回の事件に関わるなと言いに来た」
「つまり。これから行う事に悪魔は関わるなって言ってるんですか?」
壁側に居た闇慈は朱乃が淹れてくれたお茶のコップを持ちながら尋ねた。闇慈は冷静だったが好き勝手な言い分に、リアスの目は冷たい怒りを宿す
「それからもう一つ。・・・もしかして貴女方は2人だけで堕天使の幹部からエクスカリバーを奪い返すつもりですか?幾らなんでも無謀過ぎます。下手したら死ぬことになりますよ?」
「そうよ」
「私もイリナと同意見だが、出来るだけ死にたくはないな」
「っ!!死ぬ覚悟でこの日本に来たというの?相変わらず、あなた逹の信仰は常軌を逸しているのね」
「我々の信仰をバカにしないでちょうだい、リアス・グレモリー。ね、ゼノヴィア」
「まぁね。それに教会は堕天使に利用されるぐらいなら、エクスカリバーが全て消滅しても構わないと決定した。私達の役目は最低でもエクスカリバーを堕天使の手からなくす事だ。そのためなら、私達は死んでもいいのさ。エクスカリバーに対抗出来るのはエクスカリバーだけだよ」
(・・・僕のデスサイズ・ヘルじゃダメですか?デスさん)
(偽りの剣に我が鎌が遅れを取るわけがなかろう!!)
(それもそうですね。でも、死んでも良い・・・これは気に入らないですね)
エクスカリバーを堕天使に利用されない為なら、自分達は死んでもいい。それが闇慈には気に入らないみたいだった。そして会話が終了した所でイリナとゼノヴィアは帰ろうとしたが、アーシアに視線を集中させた。
「聖女と呼ばれていた者が堕ちるところまで堕ちたものだな。まだ我らの神を信じているか?」
「ゼノヴィア。悪魔になった彼女が主を信仰している筈はないでしょう?」
アーシアは二人の言葉に体をビクッと振るわせた。しかし二人の言葉に反応したのはアーシアだけではなかった。一誠と闇慈だった。二人は好き勝手な言い様に軽く目を細めた。闇慈にいたっては持っているコップを軽く右手で圧迫し始めた。
「いや、その子から信仰の匂い・・・香りがする。抽象的な言い方かもしれないが、私はそういうのに敏感でね。背信行為をする輩でも罪の意識を感じながら、信仰心を忘れない者がいる。それと同じものがその子から伝わってくるんだよ」
「そうなの?アーシアさんは悪魔になったその身でも主を信じているのかしら?」
イリナの問いにアーシアは悲しそうな表情で答えた。
「・・・捨てきれないだけです。ずっと、信じてきたのですから・・・」
「そうか。それならば、今すぐ私達に斬られるといい。今なら神の名の下に断罪しよう。罪深くとも、我らの神ならば救いの手を差し伸べてくださる筈だ」
ゼノヴィアはアーシアに近づいたがそれを一誠が遮った。
「アーシアに近づいたら、俺が許さない。あんた、アーシアを『魔女』だと言ったな?」
「そうだよ。少なくとも今の彼女は『魔女』と呼ばれるだけの存在ではあると思うが?」
ゼノヴィアの物言いに遂に一誠の堪忍袋の尾が切れた。
「ふざけるなっ!救いを求めていた彼女を誰一人助けなかったんだろう!?アーシアの優しさを理解出来ない連中なんか、ただのバカ野郎だ!友達になってくれる奴もいないなんて、そんなの間違っている!」
「『聖女』に友人が必要だと思うか?大切なのは分け隔てない慈悲と慈愛だ。他者に友情と愛情を求めた時、『聖女』は終わる。彼女は神からの愛だけがあれば生きていけた筈なんだ。最初からアーシア・アルジェントに『聖女』の資格は無かったのだろう」
ゼノヴィアが言い切った瞬間・・・
ガチャーン!!!
と何かが割れるような音が聞え、部屋に居た全員がその音源に首を向けた。それは闇慈だった。見てみると右手に持っていたコップが無くなり回りには破片が飛び散っていた。落としたかのように見えたが右手には赤い液体が流れていた。
そう、闇慈も怒りに耐えられなくなり持っていたコップを握りつぶしたのだった。
「ふざけことを抜かすのも大概にしろ・・・。貴様らが勝手に彼女に『聖女』と言う肩書きを背負わせ・・・それを今度は!!少し道を外しただけで『魔女』と言うレッテルを彼女に貼り付け、罵る!!」
闇慈の右手には夥しい血が流れていたが構わずに続ける。
「彼女は傷ついた者を癒しただけだ。こんな心清らかな・・・貞淑な女の子が何故こんなに苦しまなければならない!?何故神は彼女を救わなかった!?そんなことなら・・・神なんかいらない!!いや!!神なんざ糞喰らえだ!!」
「なっ!?その言葉は神そのものを侮辱する言葉よ!!」
「それは我々に対する挑戦と取っていいのだな?」
「ああ・・・」
「闇慈。お止め・・・っ!?」
リアスは闇慈を止めようとしたがリアスは今の闇慈の状態が堕天使達を倒した時と同じ位キレていたことが分かった。
「リアス先輩・・・止めないで下さい。こう言った石頭達は一度体で知った方が身の為なんですよ」
「それ以上愚弄するな!!表へ出ろ!!昨日出来なかった断罪を今ここで執り行う!!」
闇慈は言われるがままに外へ出た。
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