ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第二十五話 中盤
「はあああ!!!」
闇慈は翼を羽ばたかせ、ユーベルーナに斬りかかった。しかしユーベルーナは咄嗟に魔力で出来たシールドようなものを展開し、防いだ。鎌とシールドがぶつかり合い、しばらくの間火花を散らした後、闇慈がユーベルーナから離れた。
「防御が硬いな。流石はライザーのクイーンと言った所か・・・」
「今度はこちらの番ね・・・」
「っ!!」
ユーベルーナが杖をかざすと闇慈の周りに複数の小さな魔方陣が展開された。闇慈はその場から逃げたと同時にその魔方陣が爆発を起こした。
「なるほど。確かにあれを不意打ちにやられたら避けように避けられないな。魔法の展開の速さ・・・そして爆発させるまでの時間が極端に短い。どうやら『爆発系統』の魔法を好む様だな?」
「私はこの名を嫌っているが、私の二つ名は『爆発王妃(ボム・クイーン)』。そして初見で私の爆発をかわしたのは人間は貴方が初めてよ・・・」
「なら・・・初めて負ける人間は俺で構わないか?」
「私はライザー様の為にも負けることは許されない!!」
「でもこっちも負ける訳には行かないんだ!!」
闇慈は再びユーベルーナに斬りかかった。
「バカな人ね・・・そんなことやっても弾かれるだけですわ」
レイヴェルが高み見物しているような口調で闇慈を罵ったが闇慈は馬鹿では無かった。鎌の刃とシールドは触れた瞬間ユーべルーナのシールドが斬り裂かれ霧散してしまった。
「私のシールドが!?」
「そこだ!!」
闇慈は鎌を振り切った反動を乗せた回し蹴りをユーベルーナの横腹に叩き込み、地面に墜落させた。闇慈はゆっくり地面に着地すると翼を消し、ユーベルーナの元に近寄った。
「魔法を斬り裂くとは・・・その鎌はただの鎌じゃない?」
「まあ。魔法を斬り裂く鎌とでも言っておこうか(本当の名前はまだ出さないほうが良いだろう)。これで終わ・・・何をやっているだ?」
闇慈が見た光景はレイヴェルがユーベルーナに何かを飲ませている光景だった。それを飲み終えるとユーベルーナの傷は回復し、魔力も元通りになっていた。
「傷が回復した?それは何だ?」
「『フェニックスの涙』ですわ」
「フェニックスの涙・・・確か本で読んだ時に登場した『触れたものを癒すことが出来るもの』だったような・・・まさか。朱乃さんや祐斗もそれを使って?」
「その通りだ。これでお前を倒せる」
ユーベルーナは再び、杖を構え、魔方陣を展開し始めた。
「これは流石に本気を出さないとならないようだな」
「えっ!?まだ力を隠していましたの!?」
「日本のことわざにこうある。『能ある鷹は爪を隠す』・・・切り札は最後まで取っておくものだ!!いくぞ!!」
闇慈は魔力を一気に解放し『憑依・死神』を発動させた。
「な、何なの!?この魔力は!?」
「レイヴェル様!!お下がり下さい!!」
ユーベルーナがレイヴェルに言い切った瞬間・・・彼女の目の前には・・・死神がいた。足に魔力を集中させているのか闇慈の速さは格段に上がっていた。
「は、速・・・」
「うおおおお!!!」
闇慈は光速に近い速さでユーベルーナを斬り刻んで行った。そしてそれが終わるとユーベルーナは力尽きたように地面に倒れ付してしまった。
「申し訳ありません・・・ライザー様・・・」
ユーベルーナがそう言うと光に包まれ、消えてしまった。
『ライザー様の[クイーン]一名。戦闘不能』
「ユーベルーナが・・・こうもあっさりとやられるなんて・・・」
「はあ・・・はあ・・・残りは君と焼き鳥さんだけだな」
闇慈はデスサイズ・ヘルを右肩に担ぐとレイヴェルに近寄った。
「こ、来ないで下さい!!」
しかしレイヴェルの心の中には闇慈たちする恐怖に満ち溢れていた。それ故に足が動かずに、その場に倒れ付してしまった。
「・・・」
「ひっ・・・」
闇慈は丸腰のレイヴェルを『真紅の魔眼』で見下すように威圧をかけた。しかし闇慈はその威圧をすぐに解き、ライザーがいると思われる生徒会の校舎に体をむけた。
「あとは・・・あの焼き鳥か・・・」
「お待ち下さい!!」
校舎に行こうとした闇慈をレイヴェルが引き止めた。この時の闇慈は戦闘も無いため優しい性格に戻っていた。
「何かな?」
「どうして・・・止めを刺さないの?」
「僕は敵意の無い人と無駄に争いたくはないからね。僕が倒さないといけないのは・・・ライザーだけだよ」
「・・・」
「じゃあ。僕は行くね?えっと・・・レイヴェルさんだったかな」
その場を後にしようとした闇慈に再びレイヴェルが引きとめ、名前を尋ねた。
「あ、あの!!・・・貴方のお名前は?」
「僕は黒神闇慈。オカルト研究部の部員で『訳有の人間』だよ」
そういうと闇慈はレイヴェルに微笑んで別れを告げ、校舎に走っていった。
(不思議な方。怖かったけど優しい・・・そして笑顔が素敵な方でした///)
その時にレイヴェルの顔は少し赤かったらしい。
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