| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

髑髏天使

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四十九話 停戦その二


「その通りです」
「そうか、そういうことか」
「その通りです。ですから今はです」
「俺達とは戦うことはしないか」
「まずは妖魔です」
 老人は言い切った。
「そして戦いの他の楽しみを堪能します」
「それで停戦か」
「むしろね」
 今度は子供が言ってきたのだった。
「僕達は君達との共闘も考えてるんだよ」
「魔物と髑髏天使がか」
「うん、そうだよ」
 こう言ってくるのだった。
「そうしてね」
「変わるものだな」
「僕達も驚いてるよ」
 子供が牧村に返す。
「実際にね」
「そうか」
「まあ今は流石にそこまでは無理かな」
「こちらから停戦を申し出たばかりですし」
 老人がまた言ってきた。
「そちらも心の整理がありますね」
「ないと言えば嘘になる」
「私もだ」
 牧村と死神もそれは否定しなかった。
「髑髏天使としての宿命を考えればな」
「これまでの戦いだけでもだ」
「それはわかっています」
 老人も述べてきた。
「それはです。しかしです」
「それは事実だというのだな」
「嘘ではないと」
「何度も申し上げた通りです」
 また言う老人だった。
「では。そういうことで」
「待て、帰るのか」
「そうするのか」
「お話することは終わりましたから」
「だからだよ」
 老人だけでなく子供も告げてきた。
「戦う理由はなくなりましたし」
「だからこれでね」
「そうか。それでなのか」
「もう帰るのか」
「じゃあさ。百目さ」
 子供は無邪気な笑顔で老人の本来の名前を言ってきた。
「これからどうしようかな」
「これからですか」
「うん、これからね」
 彼が言うのはこのことだった。
「遊ぶにしても何をしようかな」
「そうですね。まずは食べましょう」
「食べるんだ」
「ハンバーガーなぞどうでしょうか」
 老人もにこやかに笑って提案するのだった。
「それを食べてですね」
「それからだね」
「後は。近頃犬猫ランドという場所ができたそうですが」
「ああ、犬や猫が一杯いる」
「そこに全員で行きませんか」
 これが老人の提案だった。
「のどかでそれでいて非常に楽しいところのようです」
「そうね。それじゃあ」
「そこにするか」
 女と男が応えた。
「犬や猫と遊んだりたわむれたりするのもね」
「癒されるものだ」
「はい、癒しもいいものです」
 それを肯定してそのうえで語る老人だった。
「では。そういうことで」
「僕犬は秋田犬が好きなんだよね」
 子供はその犬について話しはじめた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧