髑髏天使
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第四十三話 熾天その十二
「それではだ」
「あれを使うか」
「その通りだ。それではだ」
こう言うとだ。死神が増えた。一人が二人になり二人が三人にだ。そうしてすぐ十人にまで増やしてみせたのである。
「十人か」
「それがどうかしたのか」
「数が増えたな」
髑髏天使は横から来た妖魔を左のサーベルで横薙ぎにしながら彼に述べた。横薙ぎにされた妖魔は腹を両断されて青白い炎に包まれる。
「分身の数がな」
「そうだな。これだけの数でもいけるようになった」
「そうか」
「つまりそれだけ強くなったということか」
死神はその理由を自分で分析して述べた。
「私もまた」
「強くなったのか」
「だからこそだ」
十人の死神達が動いてであった。
それぞれ斬ってだ。妖魔の数を減らしていく。
「こうしたこともできるのだ」
「だからか」
「そしてだ。髑髏天使よ」
「何だ」
「貴様もだな」
こう彼に言うのである。
「前の戦いの時よりもさらに動きがよくなっているな」
「そうか」
言いながら後ろから迫ってきた妖魔に対してだ。
まずは右手の剣を前にいる妖魔に繰り出す。ここでも横薙ぎに繰り出す。そしてそのうえでだ。振り向いて後ろにいるその妖魔も横薙ぎに斬った。瞬く間に二人斬ったのである。
「そうなっているか」
「今の動きがまさにそれだ」
それだというのである。
「よくなっている」
「だといいがな」
「そしてだ」
敵をさらに斬る髑髏天使にさらに述べる。
「そろそろだな」
「そろそろだというのか」
「またあがる」
死神は言った。
「貴様はな」
「あがる。そうか」
牧村もここでわかった。
「俺は遂にか」
「熾天使だ」
それだというのである。
「貴様はそれになる」
「熾天使は天使の中での最高位だったな」
「その通りだ。この戦いでなるかもな」
「だといいがな。さて、だ」
ここでだ。髑髏天使は動いたのだった。
そしてだ。両手の剣を四方八方に振り回してだ。そこから雷を放ったのだった。
それで周りの妖魔達を次々に倒す。雷に貫かれた妖魔達はそれで青白い炎に包まれていく。それを放ち終えたその時であった。
「むっ!?」
「遂にか」
死神はその髑髏天使を見て述べた。
「なるか」
「これか」
「そうだ、それだ」
髑髏天使の身体が黄金の光に包まれた。
そしてその中で、であった。
それまで四枚だった翼が六枚になった。甲冑が黄金のものになる。
そしてだ。髑髏の色も変わった。
それまでの銀色がだ。見る見るうちに黄金になる。黄金の髑髏と甲冑に六枚の翼のだ。その姿になったのであった。
その姿になってだ。髑髏天使が言うのであった。
「これがか」
「そうだ、その姿こそがだ」
「熾天使か」
自分自身の口からの言葉である。
「この姿がか」
「力は感じるか」
「そうだな」
一呼吸置いてからの返答だった。
「少しだが」
「そうか、感じるか」
「徐々にあがってきている」
こうも言う髑髏天使であった。
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