髑髏天使
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第三十一話 赤眼その一
髑髏天使
第三十一話 赤眼
「早いのう」
「言われた」
また研究室で牧村が博士に答えていた。いつも通り妖怪達が彼等の周りにいてやはり酒を飲んでいたり菓子を食べていたりしている。全てがいつもと同じであった。
「死神や目玉にもだ」
「ああ、あの目玉はじゃ」
「あれも神か」
「そうじゃ、神じゃ」
そうだと答える博士だった。
「あれの正確は名前はだ」
「何だというのだ?」
「眠りの神なのじゃ」
「そして監視の神か」
「左様じゃ」
まさにそうだと話すのだった。
「魔物に見えたか」
「どちらかといえば妖怪に近い」
牧村が感じたのはそれであったのだ。
「そう感じたがな」
「そうなのか。妖怪か」
「妖怪だな。もっとも神なのはわかっていたが」
「それならばよいがな」
「それでだ」
ここで牧村は話を変えてきた。戻したといってもいい。
「俺のことだが」
「智天使になったのじゃな」
「そうだ、それは早いのだな」
「今までここまで早いのはなかったじゃろう」
「そこまでか」
「文献にある限りではない」
それはないというのだった。博士はだ。
「全くじゃ」
「ないのか」
「そうじゃ。そもそも智天使自体になった者も少ない」
「少ないか」
「稀になった者いるだけじゃ」
そうであると牧村に話す。
「本当にな。しかし」
「しかし?」
「君はなった」
こう牧村に話すのだった。
「それ自体が驚くことじゃ」
「そうなのか」
「そしてじゃ」
「そして?」
「その智天使のことじゃが」
今度は博士から話を変えてきた。その天使のことに話をやるのであった。
その智天使とはだ。博士は話すのである。
「キリスト教の世界では座天使までは普通の天使の姿をしておる」
「あの翼を生やした姿だな」
「そうじゃ。座天使まではじゃ」
彼が前までその階級にあったその座天使である。
「しかし」
「しかし?」
「智天使から違ってくるのじゃ」
「残り二つの階級はか」
「神に近いだけではない」
それだけではないとも話す。
「その力もじゃ」
「かなり違ってくるのか」
「それは姿にも表れてきている」
「あの天使の姿ではないのか」
「かつては翼を持ち人の顔を持つ獅子の姿をしておった」
そうだったというのである。
「そして後はじゃ」
「他の姿もあるのか」
「四枚の翼を持ち」
「あの俺の姿と同じか」
「そしてじゃ」
さらに話す博士だった。
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