髑髏天使
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第二十九話 小男その十一
「だから。貴方が幾つになろうとも」
「倒せるというのか」
「そういうこと。これでわかったわね」
「話はわかったが納得はしない」
これが彼の返答だった。
「何故なら私が貴様を倒すからだ」
「だからだというのね」
「これで話はわかったな」
死神の言葉がさらに鋭くなる。そうしてであった。
彼はここで姿を現わした。それも一人ではなかった。
十人いた。その数で向かうのであった。
「数には数だ」
「単純だけれどその通りね」
「さて、十人の私達にはどうするのだ」
「より多くの数よ」
今魔物は五人であった。しかしそれが。
さらに、しかも一気に増えたのだ。何と二十人までだ。
その二十人の数でだ。死神達を取り囲んでみせたのである。
そしてそれから。彼に対してまた問うた。
「これで形勢逆転ね」
「数に対抗するにはより多くの数か」
「そうよ」
まさにそうだというのである。
「わかったら。いいわね」
「来るか」
魔物の牙が一斉に動いた。それと共に十の大鎌も光った。
その鎌で魔物のその牙を防ぐ。だがそこにもう一人来る。劣勢は明らかだった。
だが死神達はその鎌で対する。宙に舞い影に隠れその中で闘う。魔物もまた同じだ。
しかし彼等は闘うその中でさらに増えていく。気付けばそれは四十を超えていた。
「数はさらに増えるか」
「私は幾らでも増えられるのよ」
そうだというのである。
「本当に幾らでもね」
「増えるか」
「その私にどう闘うのかしら」
自信に満ちた声だった。
「果たして。勝てるのかしら」
「勝てる。私が敗れることはない」
こう言ってであった。その目が光った。
「貴様のことはわかった」
「わかった!?」
「こうすれば勝てる」
言いながらその鎌を投げた。だがそれは魔物の頭ではなくその下を狙っていた。彼のその心臓を狙って放ったのだ。鎌は回転し大きな唸り声をあげて心臓を断ち切った。
心臓を断ち切られた魔物はそれですぐに姿を消した。赤い炎に包まれて。
その戻って来た鎌を受け取ってだ。死神はまた言った。
「こうして一人ずつ倒していく」
「流石ね」
「貴様はこうして倒すことができる」
まさにそうだというのだ。
「例えどれだけ増えようともな」
「いいわ。そうでなくては私も面白くないわ」
魔物もまた笑っていた。一人消されてもである。
「では私が貴方達からその血を一滴残らず飲み干すか」
「それとも貴様が全て消えるか」
「どちらかね」
「私が勝利を収める」
死神は今また言った。
「それは既に決まったことだ」
「大きく出るのね」
「事実を語ったまでだ」
彼にとってはまさにそれだけなのであった。
「それだけだ」
「では私は」
「こうさせてもらうわ」
その数をさらに増やしてきたのであった。
その数で死神達を囲んできた。そのうえで再び襲い掛かる。
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