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髑髏天使

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第二十二話 主天その二十五


 彼はその無人で動くコースターから舞い降りた。その彼のところに死神がやって来てそのうえで声をかけるのだった。
「また階級を昇ったな」
「見ての通りだ」
 こう返すのだった。
「今度は緑だ」
「そうか。緑か」
「大地の力の様だな」
 今のその色は確かに緑だった。その緑の髑髏で語っていた。
「まだ完全にわかってはいないが」
「そして中級の最上位になった」
 死神は今度はこう告げた。それと共に戦いの服から通常の服になった。髑髏天使もまた牧村の姿に戻りそのうえで話すのであった。
「残るはあと三つだ」
「上級のだな」
「座天使になればまた新たな力を手に入れることになる」
 死神の声は落ち着いたものであった。しかしその落ち着きの中にもう一つのものを含ませていた。それは牧村ですら気付かないものであった。
「貴様はな。そして」
「そして。何だというのだ?」
「その中で手に入れるものもあれば離すものもある」
 こう言うのであった。
「何かを手に入れるばかりではない。それだけには留まらないものだ」
「では俺も力をか」
「そうだ。手放すこともある」
 また言う死神だった。
「貴様もそうではないのか」
「そうだとしてもだ」
 それを言われても臆するところのない牧村だった。
「俺は髑髏天使だ」
「魔物と闘うのだな」
「何かを失ったとしてもな。それが俺の髑髏天使としての運命ならばだ」
「それはわかった」 
 今の牧村の言葉はそのまま受け取ったでしった。
「しかしだ」
「しかし?」60
「人であればいいのだがな」
「馬鹿なことを言う」
 そう言われても今はわからない牧村だった。
「俺は人間だ。まごうかたなきな」
「だといいのだがな」
 今の牧村の言葉を聞いてもこう返すだけの死神だった。
「果たしてな」
「訳の判らないことを言う。だがいい
「いいのか」
「闘いは終わった」
 そのことをそのまま述べたのであった。
「それで終わりだ。今はな」
「では帰るのだな」
「そうさせてもらうが貴様は違うとでもいうのか」
「いや、私もそれは同じだ」
 彼もまただという返答であった。
「用は終わった。これでな」
「そうか。では帰るとしよう」
「しかし貴様の戦いはまだ続く」
 別れ際にまた言ってみせるのだった。
「そのことも忘れないことだ」
「忘れるつもりはない。むしろだ」
「むしろ。何だ」
「忘れることができないことだ」
 これが牧村の返答だった。
「俺にとってはな」
「だからこそなのだ」
 死神は今の牧村の言葉に対しても述べてみせた。
「だからこそこれからの貴様はだ」
「相変わらず言っている意味がわからないのだがな」
「これは前に言った記憶があるが」
 今の牧村の言葉に対しても返す。
「やがてわかることになるかもな」
「わからなくても別に構うことはない」
 だが牧村はその態度を変えない。 
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