髑髏天使
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第二十二話 主天その二十二
「隠れることも攻撃を仕掛けることもな」
「そして影を狙う方が得意か」
「そうだ。影を狙えばだ」
魔物は告げた。
「下手に身体を狙うよりも傷付けられるからだ」
「そうらしいな。しかし影を狙うとわかっていればだ」
死神は魔物の言葉を逆手に取るような言葉を出すことになった。
「そこを狙えばいいだけだ。それだけだ」
「それだけか。成程な」
「これでわかったな」
死神と影喰らいの言葉は終わりに近付いていた。言葉のトーンもそれを象徴するかの様に静かで落ち着いたものになってきていた。
「狙う対象がわかっていたら楽になる」
「そういうことか。どうやら貴様の方が上手のようだな」
「わかったら安心して逝け」
死神に相応しい言葉であった。
「冥界にな」
「逝くとしよう。無念だが認めるしかない」
両方が重なった言葉であった。
「それではな」
「これでまた一つだな」
魔物は赤い炎にその全身を包まれて逝った。これで死神の戦いは終わった。
しかし髑髏天使首無し騎士の戦いは続いていた。騎士の左手の槍は飛ぶ様に進むコースターの中で相変わらず素早い攻撃を見せていた。
髑髏天使はその攻撃を受けるばかりであった。左手での攻撃は相手に通用しない。その差が徐々に出て来ている状況だった。
「さあ。どうするのだ」
攻撃を繰り出し続ける魔物が髑髏天使に問うてきた。
「この攻撃を前にしては間合いを取ることも飛ぶこともできない」
「確かにな」
髑髏天使も忌々しい声色だったがそれを認めるしかなかった。相変わらず魔物の槍による攻撃を何とか防いでいる状況であるからだ。
「だが。俺は倒されることはしない」
それでもこう言う髑髏天使だった。
「何があろうともだ」
「しかし私の槍は防げなくなってきている」
魔物は言うのだった。
「見ろ」
そして一撃を出すとだった。
今の一撃は防ぎきれなかった。剣を弾きそのまま右肩を突き刺した。魔物の槍が遂に髑髏天使を捉えてしまったのだ。
「うっ・・・・・・」
「疲れが出て来たな」
魔物の言葉が笑ったものになっていた。
「いずれはこうなる運命だった」
「そうかも知れない」
髑髏天使はすぐに間合いを離した。後ろに飛んで次の攻撃をかわした。だが右肩の傷は確かなものであり彼に確実なダメージを与えていた。
「だが。俺はまだ闘う」
「死ぬまでということだな」
「魔物の闘いは生きるか死ぬかだったな」
このことを話すのであった。
「それは俺もだ」
「髑髏天使もか」
「そうだ。俺の闘いも生きるか死ぬかだ」
「その闘いは」
「そういうことだ。だからだ」
そしてまた言うのであった。
「この程度で退くつもりはない」
「見事だな」
魔物はその彼の心を見て素直に評してきた。
「その闘いへの気構えはな。賞賛すべきものだ」
「そしてそれだけではない」
強い目での言葉であった。
「貴様を倒す」
その目で言うのであった。
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