髑髏天使
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第二十二話 主天その十六
「私に魂を刈られにな」
「貴様にできればな」
魔物の声が不気味な深みを増してきていた。彼はそのまま深いものを高めていっていた。
「俺様を倒せるか」
「行くぞ」
死神は右手を拳にした。そうしてそれを己の胸の前に置く、するとそこから白い光が宿り。その中から戦う姿になるのであった。
「それではだ」
その両手に持つ大鎌を一閃させてみせる。これをはじまりとするのだった。
牧村もまた首無し騎士と対峙している。騎士は今は動かない。
しかしその脇に抱えた首から、彼は言うのだった。
「それでははじめるか」
「そうだな」
牧村は彼のその言葉に言葉を返してみせた。
「今からな」
「髑髏天使になるがいい」
魔物はこうも彼に告げた。
「闘いはそれからだ」
「今の俺には興味がないということか」
「私が興味があるのはあくまで髑髏天使だけだ」
こう言うのである。
「人間としての貴殿ではない」
「人間に興味はないのか」
「私は魔物だ」
だからだというのである。
「それで何故人間に対して向かうというのだ」
「魔物らしいな。その考えは」
「私は魔物であり同時に騎士だ」
騎士だとも言うのであった。
「それでどうして闘う力のない貴殿を相手にするというのか」
「わかった、それではだ」
「早く変身するのだ」
再び牧村にこう告げた。
「早くな」
「そうだな」
魔物のその言葉を受けて両手を拳にした。そのうえで己の胸の前でその二つの拳を打ち合わせてみせるのであった。
するとそこから白い光が生じ彼の身体を包み込んだ。その光の中で姿を変え牧村来期から髑髏天使へろなっていくのであった。
「行くぞ」
肘を曲げた右手を前に出し一旦開いたその手を握り締める。それを合図とした。
「それではな」
「髑髏天使。会いたかったと言っておこう」
「闘う為にか」
「魔物の悦びは強き相手と闘うこと」
「何処までも闘いが好きなのだな」
「隠すつもりもなければ否定するつもりもない」
その脇の首が言う。
「では。行くぞ」
「来い」
すぐに青い力天使の姿になる。翼も生やし両手に剣を持つ。
そのうえでまずは氷の槍を宙に出す。右手の剣を前に振るうとそれが魔物に向かった。
「氷の槍か」
「さて、かわすかどうするか」
「かわすこともない」
魔物はこう言うとまず左手に槍を出してきた。その槍をただ前に出しただけであった。
するとそれだけで氷の槍を止めてしまった。その先端を己の槍の先端で止めてみせたのだ。
「槍の先でか」
「私は騎士だ」
また言う魔物だった。
「ならばこの程度。造作もないことだ」
「だからだというのか」
「貴殿とてこれで私が倒せるとは思っていまい」
この言葉と共に目に力を込めた。するとその止められてしまっていた氷の槍が粉々に砕けてしまったのだった。
砕けた氷がアスファルトに落ちる。すぐに水になって消えてしまった。
「違うか」
「確かにな。貴様はそう簡単にはいかない相手だ」
「わかっているのならより楽しもう」
槍を構えなおして髑髏天使に告げてきた。
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