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髑髏天使

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第二十二話 主天その一


                     髑髏天使
                  第二十二話  主天
「ああ、あいつも来たんだ」
「そろそろだと思ってたけれど」
 妖怪達は今日も博士の研究室にいる。そこでいつものように酒盛りをし菓子や果物を楽しみながらそのうえで牧村と博士の話を聞きながら言っていた。
「人狼も来て」
「これで七人になったね」
「思ったより早いのう」
 博士もいつもの様に自分の机に座り前に何かしらの文献を開きながら述べていた。
「もう七人だとはのう」
「早いか」
「魔神の封印は同時に解かれる時じゃったのか」
 博士は牧村の言葉に応えながらまた述べた。
「だからかのう」
「何はともあれこれで七人だな」
「そうじゃ」
 牧村の今の言葉にはそのまま答えた。
「それは確かじゃ。あと五人じゃな」
「五人か」
「全員揃えば何かあるかも知れん」
 博士は牧村にこうも話した。
「若しかしてじゃが」
「何かというと」
「いや、それはわからん」
 それについては博士も答えられなかったのだった。
「少なくとも相当な力の持ち主が集まるとなると君にとってはいいことではないな」
「十二人全てを相手にしなければならないのか」
「そういうことじゃ。神を十二人じゃ」
 こう話すのであった。
「楽ではないぞ」
「かつての髑髏天使はその魔神達を全て封印したのか」
「その髑髏天使は最高位じゃった」
 博士はこうも彼に告げた。
「だからこそできたのじゃ」
「最高位か」
「今までそこまでなったのは一人じゃ」
「一人か」
「そう、一人じゃ」
 このことを強調するかのような今の博士の言葉だった。 
「僅か一人なのじゃよ」
「これまで多く出た中で一人だけか」
「もっと言えばわかっている限りではじゃ」
 今度は牧村に顔を向けてきてそのうえでの言葉だった。
「君はかつてない速さで強くなっておるしのう」
「力天使になったことか」
「そうじゃ。ここまで半年と経っておらん」
「そのことは何度も聞いたが」
「その僅か一人の髑髏天使もじゃ」
 その最高位まで至った者のことである。
「そこに至るまで二年かかったのじゃ」
「二年か」
「そのうえであの魔神達を封印したのじゃよ」
 そのうえでだというのだ。そこに至るまで二年かかったというのである。
「無論力天使になったのもじゃ」
「俺よりも遅いか」
「とにかく君のそれは異常に速いのじゃよ」
「そこまでか」
「このままではどうなるかのう」
 博士の声も目も少しばかり遠くを見たようなものになった。
「一体どうなるやら」
「そうだよね。まだ半年も経ってないのに」
「ここまで強くなるなんてね」
「有り得ない」
 妖怪達もその牧村のことを話すのだった。
「こりゃ果てが恐いね」
「一年も経たないで最高位になるかもね」
「この調子だと有り得るね」
「そんなことはどうでもいい」
 しかし当の牧村はここでもクールな調子であった。
「最高位かどうかはな」
「それがいいって」
「じゃあ何がいいっていうんだろう。この人」
「魔物を倒せるかどうかだ」
 彼が髑髏天使として興味があるのはこのことであった。 
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