髑髏天使
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第十八話 力天その二十六
「今の君じゃまだ僕達には勝てないよ」
「神にはか」
「力天使でもね」
やはり楽しそうに笑っている言葉であった。
「それはね。力天使ではまだ僕達の力にはならないからね」
「そうか。まだか」
髑髏天使はそれを聞いて静かに述べた。
「力天使でもまだか」
「そうだよ。その時は待っているけれどね」
「確かに力は強くなった」
死神もそれは認める。
「だが。その心は果たして人のままなのだろうかな」
しかしこの言葉は他の者には聞こえなかった。そうして髑髏天使はその青い姿のままで宙にはばたきそのうえでまた魔物と対峙していた。
「それではだ」
「闘いの再開だよね」
「そうだ。行くぞ」
魔物は強くなった彼を見てもまだ平然としていた。
「このままな。倒させてもらう」
「力は強くなったみたいだけれどそれでもだよ」
魔物もまた宙を泳ぐように待っていた。相変わらず。
そうしてそのうえで。また髑髏天使に対して攻撃を仕掛けようとしていたのだった。
「さて、それじゃあ行くよ」
「来るのか」
「魔物は逃げることはないからね」
彼もまた魔物なのだからだった。
「闘わせてもらうよ、絶対にね」
「闘うことは嫌いではないのだな」
「魔物だからね」
だからだというのである。
「さあ、話はこれ位にして」
「来い」
両者は同時に動いた。髑髏天使はまず両手の剣を一閃させた。そうしてそのうえでその剣から氷の刃を放った。だがそれは鎌ィ足と同じ結果に終わった。
魔物はその氷の刃もすんなりとかわした。やはりこれは効果がなかった。
「悪いけれどそれには当たらないから」
「そのようだな」
「もう少し攻撃にも凝らないと駄目だよ」
そうして笑いながら言うのだった。
「さっきもやったじゃない」
「無論これだけではない」
髑髏天使はさらに前に飛びながら魔物に対して返す。
そして今度はであった。まだ間合いに入っていないというのにその剣を突き出してきた。するとその剣から氷が出た。氷の刃が突き出されたのである。
「なっ!?」
「まだだ」
さらに突きを繰り出す。するとその都度刃が突き出される。
それにより魔物を倒そうとするのだ。魔物もまたこれには苦戦していた。
「くっ、これは辛いかな」
「さて、これでどうだ」
両者はそれぞれ言ってきた。
「かわせるか?どうだ?」
「結構難しいかな」
魔物の声もまた苦しいものであった。
「これは。けれどね」
「けれど。何だ?」
「まだだよ」
声は確かに苦しかったが諦めたものではなかった。
「僕だってね。同じことができるからさ」
「何っ!?」
「こうするんだよ」
言いながら己の顔を髑髏天使に向けてきた。そうして。
舌を前に突き出してくる。それも何度も何度も。それにより髑髏天使の氷の刃を退けてきたのだ。
氷の刃は舌によりその都度砕かれる。また舌はそれと共に髑髏天使に攻撃を浴びせてくる。彼の一方的な攻撃はこれで止まってしまった。
「これでどうかな?」
「突きは俺だけではないということか」
「そうだよ。そしてね」
魔物の声がここで笑ってきた。口の端にもそれが出ている。
「僕はそれだけじゃないんだよね」
「むっ!?」
後ろからその長い尾が来るのを察した。すんでのところで上に飛びそれをかわす。まさに間一髪であった。尾は今はむなしく宙を叩いただけであった。
「やっぱり気付いたんだね」
「この程度ならな」
気付くと答える髑髏天使だった。
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