髑髏天使
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第十七話 棺桶その十九
「通用することはない。絶対にな」
「攻撃力と防御力」
髑髏天使もまた身を翻しながら彼に言葉を返す。
「貴様はその二つを併せ持っているということか」
「しかも絶対のな」
絶対の矛と盾を持っている、そういうことだった。
「だからだ。私は強いのだ」
「俺を倒せるという程にだな」
「その通りだ。では覚悟するのだ」
言いながらまた身構えてくる。そうしてそのうえで再び突っ込んでくる。髑髏天使はまた身体をかわしそのうえでまた剣を繰り出す。しかし攻撃は相変わらず通じず彼にとっては苦しい闘いになっていた。
死神もまた同じだった。マンティコアと激しい空中戦を繰り広げている。だがその牙と爪以外のものにもかなり苦労させられているのだった。
「ちいっ!」
牙を防いだところで迫ってきた蠍の尾をかわす。牙は鎌で受け止めたが尾は不可能だった。首を左に動かしそれで何とかかわせた。
「危ないところだったな」
「よく今のをかわせたな」
その醜悪な老人の顔で告げてきた言葉だった。
「俺の毒の尾を」
「こちらとて何が来るのかはわかっている」
鎌を思いきり前に出し相手を弾き飛ばしそのうえで間合いを作ってから述べた言葉だった。
「だとすればかわすことができる」
「それによってか」
「そうだ。何が来るかわかっているのならだ」
彼はまた言うのだった。
「かわすことはできる」
「どうやら。噂だけのことはあるな」
赤い目で見据えながら死神に告げる。
「やるな」
「私は死神だ。命を刈るのが仕事だ」
その両手に持っている鎌を構えなおしながらの言葉である。
「貴様等のそれもな」
「では。俺の命もか」
「如何にも」
言葉に引くものはなかった。
「今から刈ってやろう、心おきなくな」
「その言葉は見事だ」
魔物も今の彼の言葉は認めた。
「だが。俺を倒せることは無理だと言っておこう」
「くっ!?」
魔物はまた攻めてきた。その前足の爪を斜め上から振り下ろしそれで死神を引き裂こうとする。しかし彼はそれもすり抜けてみせたのだった。
「またか!?」
「そうだ、まただ」
死神の姿が消え声だけが聞こえた。
「そしてだ。次は」
「何っ!?」
死神はマンティコアの横に出て来た。そしてそこから鎌を振り下ろすのだった。
その胴をまさに両断せんとする。魔物にそれを防ぐことはできない。そう思われたが。
だが彼はそうはならなかった。その鎌を前に飛んでかわしたのだった。かわしてそのうえで上に飛ぶのだった。
「上か!?」
「喰ってやる」
橋の底を蹴りながらまた言ってきた。
「貴様が神であろうともな」
そして蹴った衝撃を利用して急降下を仕掛ける。今度はその三重の牙で喉を噛み切らんとする。流石に今度は幻術でかわす余裕はなかった。
鎌でそれを受け止める。だが衝撃までは殺すことができず地面に叩き付けられてしまった。しかも魔物はその上に覆い被さりそのまま攻撃を続けんとしてきていた。
「さあ、これで飛ぶことはできまい」
「確かにな」
死神もそれは認める。
「それに幻術もな。使えないか」
「では貴様はこれで終わりだ」
真っ赤に血走った目でまた言うのだった。
「さあ、影も残さず喰ってやろう」
また牙を向けてくる。鎌で何とか防ぐ。しかしそれは苦戦だった。完全に上を押さえられ組み敷かれ逃げ出すこともできない有様だった。
その横では髑髏天使がストーンカと闘い続けている。しかし彼にしろその突進をかわすだけで一杯でありこちらの攻撃は全く効いてはいなかった。
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