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髑髏天使

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第十一話 死神その十八


「貴様の方からな。その時は容赦はしない」
「容赦は、か」
「このことは覚えておくことだ」
 ここまで言うと顔を正面に戻し牧村に対して完全に背を向けた。白いスカートにそのフードが目につく。
「その時は。刈る」
「俺の魂をか」
「そのことはよく覚えておけ。それではな」
「何処に行く?」
「私の本来の世界に」
 牧村に背を向けたまま前に歩きだした。
「戻る」
「また。来るのか」
 牧村はその前に歩きだした彼に対して問うた。
「この世界に」
「無論だ。私はその為に来た」
 歩きながら答える死神だった。
「だからだ。それは」
「当然か」
「そういうことだ。話はこれでいいな」
「ああ」
 死神の言葉に対して頷いた。
「また会うことになる」
「今度は俺が魔物を倒す」
「さて、それはどうかな」
 今の牧村の言葉には賛成してはこなかった。
「これについては競争としたいものだ」
「競争!?」
「そうだ」
 これが死神の提案だった。
「どちらが先に出て来た魔物を倒すか」
「争うということか」
「無論その時で衝突することも考えられる」
 牧村に背を向けながら述べる。
「その時はだ」
「闘うというのか」
「それも一興ではある」
 ここで死神は足を止めた。そして牧村に再び顔を向けて。
「そうは思わないか?」
「俺は自分からは仕掛けはしない」
 牧村はそれは確かに言った。
「だが」
「降りかかる火の粉は払う」
 牧村の言葉に続けた形になった。
「そうだな?」
「その通りだ。俺は火の粉は払う」
 彼もこのことを自分自身の口から述べた。
「どんな火の粉でもな」
「ではその時は容赦はしない」
 死神はここでは牧村に鋭い目を向けてきていた。闘いはしないがそれを受けている目であった。その目を牧村に向けたうえで語っているのだ。
「いいな」
「俺も同じだ」
 牧村も今の死神と同じ目になっている。
「貴様が来るのならばだ」
「そうならないに越したことはないのだが」
「だが。魔物は倒す」
 牧村も譲るつもりはなかった。
「それは覚えておくことだ。いいな」
「わかった」
 一言で死神に対して返した。
「では。また会おう」
「闘いはまだ続く」
 死神は再度牧村に背を向けた。
「そのことも忘れるな」
「お互いにな」
 こう言葉を交えさせて今は別れる二人だった。世界は完全に夜になり二人はその中に姿を消す。だが闘いは終わったわけではない。むしろはじまりと言っていいものだった。


第十一話   完


                2009・1・30 
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