髑髏天使
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第五十九話 精神その十四
「一緒になることもできるんだ」
「分かれ一つに戻るか」
「面白いでしょ、僕達って」
「そうした意味で兄弟であり一心同体だ」
死神も話す。
「それが私達なのだ」
「成程な」
「うん、そういうことだから」
「なら来るといい」
髑髏天使はここまで話を聞いてから述べた。
「菓子を食べさせてやる」
「僕達もお金は払うから」
「何なら宝石でもいいか」
死神は宝石もあるというのだ。
「それはどうだ」
「宝石か」
「私達にとっては何というものもないものだ」
「それこそ腐る程あるから」
目玉も宝石について話す。
「好きなだけあげるよ」
「そうか」
「どうかな、宝石は」
「金でいい」
髑髏天使は目玉に対してこう答えた。
「日本のだ。札か貨幣でいい」
「じゃあ黄金もいいんだね」
「価値はわかっている」
宝石や黄金のだ。価値は彼もわかっている。しかしそれでもだというのだ。
「だが、だ」
「いらないんだね」
「興味がない」
そうだというのだ。
「そうしたものにはだ」
「売れば凄いけれど?」
「その価値に相応しいだけ払ってもらえばいい」
やはり無欲な髑髏天使だった。あくまでこう言うのだった。
「それ以上のものは求めない」
「そうなんだ」
「そうだ、それでいい」
また言うのであった。
「それだけのものでな」
「成程、そうした欲はないんだ」
「金銭欲はな」
「ううん、まあいいことだね」
目玉は彼のそうしたところはいいとした。
「その欲で破滅する人間は結構多いからね」
「欲全てについて言えるな」
死神はここでこう言った。
「欲で破滅する人間は多い」
「神だってそれはあるしね」
「神にも欲はあるのか」
「勿論あるよ」
目玉は髑髏天使にそのことも話した。
「神にだって感情があるから」
「だからか」
「うん、だから欲はあるよ」
こう髑髏天使に話すのだった。
「そこは人間と同じだよ」
「神も同じか」
「僕達の系統の神じゃないけれど」
「ゼウスは知っているな」
目玉と死神はこの神の名前を出してきた。ギリシア神話のその神だ。
「あの人は凄いからね」
「とにかく女好きだ」
「そういうのを見ればわかるんじゃないかな」
「神にも欲はあるのだ」
「そういうことか」
「そういうことだよ」
目玉の声は笑っているものだった。
「じゃあ。そういうことだから」
「食欲を満たしに来るか」
「美味しいものを味わうという欲もね」
その欲もだというのだ。
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