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髑髏天使

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第五十六話 使長その一


                   髑髏天使 
                 第五十六話  使長
 またあの研究室でだ。博士が牧村に話していた。
「そうか、あそこで出したか」
「急に出た」
 牧村が博士に対して話す。
「俺も想像しなかった」
「そのパターン自体はいつも通りだよね」
「そうだよね」
 一つ目小僧と雨ふり小僧がここで話す。
「一ランク上の天使になる時とね」
「同じだよね」
「そうじゃな。同じじゃな」
 その通りだとだ。博士も述べるのだった。
「全く以てのう」
「けれどさ。これまでとは違うよね」
「だよね」
 その一つ目小僧と雨ふり小僧が話す。雨ふり小僧は部屋の中だというのにである。その頭に被っている古い傘が濡れている。
 その彼等がだ。話すのであった。
「九つの階級よりさらに上だから」
「天使の階級ってまだあったんだ」
「九つだけじゃなかったんだ」
 豆腐小僧もそれを言う。
「まだあったんだ」
「今度は天使長だったっけ」
 垢舐めも言う。
「それだったっけ」
「そうじゃ。実はじゃ」
 ここで話す博士だった。妖怪達だけでなく牧村にもである。
「天使達をまとめるじゃ。天使長という存在がおるのじゃ」
「天使長ねえ」
「何か凄く偉そうというか強そうだけれど」
「そういうのもいるんだね」
「そうなんだね」
「左様じゃ。天使達をまとめ神の傍にいる存在じゃ」
 それがだ。天使長という存在だというのである。
「ミカエルとかガブリエルという名前の天使がそれにあたる」
「あれか」
 牧村はそうした名前を聞いて口を開いた。
「あの天使達か」
「そうじゃ。名前は聞いておるな」
「有名だからな」
 それでだ。知っているというんである。
「ミカエルにしろガブリエルにしろな」
「その強さはまさに神に匹敵する」
 博士はその強さについても述べた。
「そう文献には書かれている」
「それにか」
「古代ヘブライの文献じゃ」
 これまただ。かなり古いものだった。実際にその机の上にだ。パピルスか何かに書かれてたと思われる。古代ヘブライ文字の文章があった。
 それを読みながらだ。博士は牧村に話すのだった。
「これじゃがな」
「ヘブライか、今度は」
「その天使の本場じゃ」
「そうだったな。確かな」
「ここに書いておる。天使長となった髑髏天使の力は」
 具体的にだ。どういったものかというのだ。
「神に匹敵する。それこそじゃ」
「それこそか」
「これまでのどの天使なぞ比較にならん」
「今の天使でもか」
「うむ、それ以上じゃ」
 まさにだ。そうだというのだった。
「遥かにじゃ」
「では。その力でか」
「最後まで戦うな」
「そうさせてもらう」
 強い言葉でだ。言い切った牧村だった。
「是非な」
「そうだね。それじゃあね」
「真剣な話はこれで終わりにして」
「何か食べよう」
「お菓子でも果物でもね」
「甘いものをね」
 妖怪達がここで笑顔で言う。話が一段落ついたところでだ。話すのだった。 
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