髑髏天使
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五十五話 魔水その二十
「この状況だとね」
「手はないか」
「僕達全員の力でも無理だよ」
こう死神に言うのである。
「ちょっと。今はね」
「そうか。ではこのまま」
「何か。手は」
「なければそれを見つけるだけだ」
ここで言ったのはだ。髑髏天使だった。
そしてそのうえでだ。彼はだ。
全身に力を込めた。そのうえでだ。
全ての力を放った。髑髏天使としての全ての力をだ。
その身体の姿勢もだ。変わっていた。両手を交差させて身体を屈めさせたものからだ。それを思いきり伸ばしてだ。開放するものになっていた。
そして黄金の光をだ。水に対して放ったのだ。
「光か」
「いや、違う」
「これは光であって光じゃない」
「気だ」
それだとだ。魔神達は悟ったのである。
「天使のオーラか」
「それでこの状況を打開する」
「そうするというのね」
「今から」
「これならばだ」
髑髏天使は力を開放し続けながら話す。
「どうだ」
「この力は」
神の声もだ。それに反応を見せた。
「まさかとは思うが」
「俺は死ぬつもりはない」
だからだともいうのである。
「貴様等を倒し。そうしてだ」
「生きるというのか」
「ここで死ぬつもりは絶対にない」
「しかしだ。それでもだ」
「言っておく」
神の言葉を遮ってだった。彼はまた言った。
「俺は最後の最後まで戦う」
「そして勝つか」
「諦めたらそれで終わりだ」
だからだというのである。
「それでだ。俺は戦う」
「あくまでか」
「今もだ。この力は」
「どうだというのだ」
「これまでの俺の力ではない」
それはだ。発しながら感じ取っていた。
「黄金の天使の力ではない」
「では何だというのだ」
「まだわからない」
それでもだと。彼は言葉として言っている。
「だが。この力でだ」
「我を退けるというのか」
「そうする。受けるがいい」
言ってだ。そのオーラを全ての方角に放った。
それでだ。そのオーラでだ。
水をだ。消し去ったのだった。
水は瞬く間にだ。光の中に消えていく。
そして光の中でだ。またあの二つの炎が出て来た。
それが己の周囲に起こっているのを見てだ。髑髏天使は言うのだった。
「これで終わりだな」
「くっ、確かにな」
神の声もだ。それを認めるものだった。
「これでは。この力を受けてはだ」
「死ぬな」
「そうだ、死ぬ」
まさにだ。その通りだというのだった。
そしてだ。神は元の姿に戻った。しかしその姿は赤と青の炎に包まれようとしている。実際に死が近付いているのはだ。明らかだった。
ページ上へ戻る