髑髏天使
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第五十五話 魔水その十七
死神のハーレーが来た。髑髏天使のサイドカーがだ。
二つのマシンがだ。それぞれの主の前に来たのだ。
そしてだ。そのうえでだった。目玉はまた言うのだった。
「これがあると全然違うよね」
「これを使って戦え」
「そういうことか」
「クトゥルフは強いから」
それでだとだ。目玉の言葉が続く。
「使えるものは何でも使わないとね」
「わかった」
髑髏天使が目玉のその言葉に頷いた。そうして。
己のサイドカーをだ。あのスカラベに変えた。
すぐにそれに乗る。その上から死神達に声をかける。
「貴様等もだな」
「うん、じゃあ」
目玉が彼のその言葉に応える。その瞬間にだ。
目玉はハーレーに向かう。それと合さる。
そうしてだ。ハーレーと目玉はだ。銀色の馬になった。
八本脚の馬になってだ。そのうえで死神に声をかける。
「じゃあ乗ろうか」
「わかった」
死神もだ。彼の言葉に頷く。
「では乗らせてもらう」
「そうして戦おうね」
「そうするか。共にな」
こうしてだ。二人はそれぞれの乗るべきものに乗った。
そのうえで構え。また突進するのだった。
神はだ。その彼等に対してだ。その爪を向けた。
その爪でだ。二人を切り裂こうとする。十本の禍々しい刃が襲い掛かる。
刃に対して。髑髏天使は。
剣を一本にする。それを巨大化させ。
それで受けた。刃達をだ。
「むっ」
「接近戦ではそれか」
髑髏天使は神の攻撃を受けてから述べた。
「それを使うのか」
「見切っていたか」
「風の動きでわかった」
それでだ。わかったというのである。
「貴様は風はわからないか」
「それがどうしたというのだ」
「そうだな。火はわかってもだ」
水と対立するだ。それはわかってもだというのだ。
彼と直接関係のない風はだ。どうかというのだった。
「そうだな。わからないな」
「水は万能だ」
その水の神の言葉である。
「他のものを知る必要はない」
「それもわかった」
無論だ。神の言葉をそのまま受けたのではない。
聞いてだ。それからの言葉だった。
「それではだ。この戦いは」
「勝てる」
死神も言った。
「確実にだ。勝てる」
「勝てるというのか、私に」
「そうだ、貴様のその驕りによってだ」
「勝てるな、間違いなくな」
髑髏天使も言う。彼等だけではなかった。
魔神達もだ。言うのだった。
「勝てる、この戦いはな」
「私に勝てるというのか」
「そうだ。一つ言っておく」
髑髏天使はこう髪に返した。
「慢心や油断、驕りはだ」
「何だというのだ」
「破滅と同義語だ」
それだというのだ。
「それを言っておく」
「神の力を侮るのか」
「侮ってはいない」
「では何だというのだ」
「少なくとも俺達は貴様を侮ってはいない」
神をだ。それは決してないというのだ。
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