髑髏天使
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第五十五話 魔水その一
髑髏天使
第五十五話 魔水
研究所でだ。牧村は魔神達から聞いたそのことをだ。博士に話していた。
博士はそれを聞いてだ。静かにこう言った。
「そうじゃったのか。それで髑髏天使がのう」
「それはまだ知らなかったか」
「うむ、知らんかった」
こうだ。牧村に答える博士だった。
「そうじゃったのか」
「髑髏天使は。天界の神が造ったのか」
「あっちの神じゃな」
博士はふとこう言った。
「あの宗教の神じゃ」
「そうだな。あれだな」
「思えばな。天使という時点でじゃ」
「それは考えられたことか」
「うむ、九つの階級といい」
博士はその天使の階級についても述べた。
「まさにそれじゃったな」
「あの神が魔物、特に魔神と戦う為にか」
「髑髏天使を生み出したのじゃ」
それがだ。髑髏天使の誕生の秘密だったのだ。博士もそのことははじめて知った。彼もそこまではまだ知ってはいなかったのである。
「そういうことじゃ」
「そうだな。そしてだ」
「うむ、前に言ったな」
「五十年に一度だったな」
「左様、髑髏天使は五十年に一度生まれる」
このことはだ。二人もよく知っていた。
そしてだ。あらためてだ。二人でこのことをだ。話していくのだった。
「魔物と戦う為にな」
「本来妖魔と戦う為ではなかったのだな」
「それが変わったようじゃな」
こう話すのだった。
「それはな」
「そうか。それがか」
「そうじゃ。変わった」
博士はこう牧村に話す。
「髑髏天使は戦いを楽しみとする魔物のその戦いがじゃ」
「他に及び世を乱すことを抑える存在だったか」
「そうだったのじゃ」
こう話をしていくのだった。
「それがな。妖魔に対してはじゃ」
「滅ぼし。そうしてか」
「抑える存在となるのう」
「同じ抑えることが目的でも違うな」
「うむ、違う」
まさにだ。そうだというのだった。
「魔物は戦うことだけが目的じゃが」
「妖魔は破壊と混沌の世界にすつことが目的だな」
「その目的が違う」
「だからか」
「同じ抑えることが目的でも違うのじゃ」
博士はこう牧村に話す。
「そういうことなのじゃよ」
「そうなるな」
「しかし。これはじゃ」
「これは、か」
「運命じゃな」
博士は今はどんな文献も開いていない。そのうえでだ。
牧村と顔を見合わせてだ。そうして話をしていた。いる場所はいつもと同じだがだ。彼等は今はそうしてだ。話をしているのだった。
「それじゃな」
「運命か」
「そうじゃ。運命じゃ」
また言う博士だった。
「そうだったのじゃな。それはな」
「髑髏天使の運命ではなくだな」
「俺の運命か」
「君は髑髏天使となり妖魔と戦いじゃ」
「混沌を抑える」
「それが君の運命だったのじゃよ」
強いが穏やかで暖かい声になっている。その声での言葉だった。
「髑髏天使として以上にな」
「そうだったのか」
「そうじゃ。その運命は受け入れるか」
「妖魔と戦う運命をか」
「既にはじまっているがな」
つまりだ。最後まで戦うかどうかだ。博士が今牧村に対して問うのはそのことだった。彼のその顔を見据えてそのうえで問うのであった。
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