髑髏天使
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第五十四話 邪炎その十一
「今は遊びの方がいいですね」
「変わったな」
「否定はしません」
穏やかに述べる老人だった。その顔は人間と全く変わりはしない。少なくともだ。牧村や死神以外が見るとだ。人間としか思えないものだった。
「それはです」
「そうか。遊びの方がか」
「よくなりましたね。少しずつ」
「けれどね。それでも」
美女がその牧村に言ってきた。
「戦いのことは忘れていないわ」
「俺との戦いか」
「それもあるわ。けれどそれ以上に」
「混沌の神々か」
「そうよ。あの連中との戦いよ」
まさにだ。その戦いだというのであった。
彼等はだ。それを見てだった。戦うというのだった。
そのうえでだ。彼等はまた話すのであった。
「まずはそれを何とかしないとね」
「アイスを食べてからにしたかったが」
ここでだ。言ったのはロッカーだった。
「そうもいかないようだな」
「その通りだ」
死神だった。今度は彼が出て来た。
「また来た。ここでな」
「そうか。来たか」
「その通りだ。貴様も覚悟はいいな」
牧村を見てだ。そのうえで彼に声をかけた。
「戦いだ。いいな」
「構いはしない」
牧村は当然だと述べた。考えをそこではこれだけで出した。
「ではだ。戦いならばだ」
「俺達もだな」
大男が述べた。
「そうするとしよう」
「当然ですね」
老人もだ。大男に続く。
「では。アイスを食べる前にです」
「軽い運動をしようかな」
子供は実際に軽い声で述べた。
「今からね」
「軽いな」
「うん、軽いよ」
子供も死神に対して返す。実際に声はそのままだ。
そしてだ。彼等の前に今度はだ。
あの男が出て来た。闇の中から霧の如く現れる様にだ。出て来たのだ。
男はだ。彼等の前に出てだ。そうして言うのであった。
「さて、いいな」
「答えを求めているのか」
「求めてはいない」
こう牧村に返しもする。
「既に決まっていることだ」
「戦うことはか」
「貴様等は逃げることはしない」
全てを見透かしただ。そうした言葉だった。
「ならばだ。決まっているな」
「貴様等もまた逃げないからだな」
「そうだ」
まさにその通りだとだ。男も言う。
「我々にはそうした考えはない」
「戦い、滅ぼすだけだ」
「それだけだな」
「如何にも」
簡潔に答える男だった。
「それだけだ」
「話は聞いた」
牧村もだ。短く答えた。
「では。はじめるとしようか」
「死ぬがいい」
男の言葉の闇が深くなった。
「全員な」
「その言葉はじゃ」
老婆が男を見据えながら話す。
「これまで何度も聞いたのう」
「そうですね。本当に」
老人も老婆のその言葉に頷く。
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