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髑髏天使

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第五十四話 邪炎その二


「あの新聞社の社長だね」
「あいつには賛成できるところがない」
 男の口調は忌々しげなものになっている。
「何一つとしてな」
「確かにね。その通りだね」
 それには子供も同意して頷く。
「人間には色々いるけれどね。あいつはね」
「最も嫌いな人間だ」
 大男はその言葉に明らかな嫌悪を見せている。
「人間の中でな」
「そうですね。人間は見ていて楽しいものですが」
 小男も雑誌を読んでいる。彼は文芸雑誌である。
「それでも。中にはです」
「卑しい人間や悪人もいるな」
「そして傲慢な人間もですね」
「傲慢は嫌いだ」
 大男はまたその声に嫌悪を含ませている。
「何よりもだ」
「我々も気をつけなくてはいけませんね」
 小男は人間を反面教師として話した。
「ああなっては本当に終わりです」
「その通りね。人間は見ていて参考になるわ」
 女はファッション雑誌である。美女も同じだ。
「いい意味でも悪い意味でもね」
「その通りじゃな。さて」
 老婆は料理雑誌だ。実に様々な雑誌がある。
「今度は何処に行くかじゃな」
「本屋で本を買った後で」
「何処に行こうかのう」
 こう老人にも話す老婆だった。
「一体何処に行こうかのう」
「時間はあります」
 老人はそれはあると述べた。
「ですから適当な場所を巡ることもです」
「よいかのう」
「そう思います」
 こう話すのだった。
「それも」
「では今はじゃな」
「はい、めぐりましょう」
 こんな話しをしてだ。彼等は百貨店の中を適当に遊んでいた。人間の世界の中でだ。楽しく遊んでいた。そこに喜びを見出してだ。
そして牧村はだ。マジックにいてだ。そこでマスターからアイスクリームの作り方を教わっていた。そうして実際に作ってみるとだ。
 見事なバニラのアイスクリームだった。それができたのであった。
 マスターはそれを見てだ。満足した顔で言うのであった。
「いいねえ」
「これでいいのか」
「いいよ、とてもね」
 こう返すのであった。
「その調子で作っていけばいいよ」
「そうか」
「最初から美味しそうなアイスを作るなんてね」
「それは難しいか」
「アイスは難しいんだよ」
 牧村に対して話す。
「何から何までね」
「そうだな。確かにな」
 実際に作ってみてだ。牧村もそれがよくわかった。それを言葉にも出す。
「素材を混ぜることからな」
「難しいだろ」
「しかもそれを美味く作ることは」
「さらに難しいだろ?」
「その通りだ。ケーキも難しいが」
 そちらを作ることの難しさもだ。彼はよくわかっていた。
「だがアイスもだな」
「そういうことだよ。けれど何度も作って」
「そうして身に着けていくか」
「どのお菓子でも同じだけれどね」
 経験によって次第に美味いものを作っていくことはだ。同じだというのである。
「特にこのアイスは」
「経験か」
「そう、経験がものを言うんだ」
 そしてだ。マスターはこの格言も出した。 
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