ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第十八話 啖呵
闇慈が使い魔、黒羽を手にしてから2日がたった。リアスの表情は前にも増して暗くなっていた。そして今日も授業が終わり、闇慈と一誠とアーシアは部室に入ると、リアス。朱乃。祐斗の他に銀髪のメイド服を着た女性がいた。
(誰だろう?この人は?)
「グ、グレイフィアさん!?」
一誠が声を張り上げた。闇慈は一誠にこの人について尋ねることにした。
「一誠。この人を知ってるの?」
「あ・・・いや。まあ昨日知り合ったって言うか」
「??」
闇慈が一誠の話を聞いても分からないようだ。するとグレイフィアと名乗る女性が闇慈の元に近寄った。
「初めまして。私はグレモリー家に仕える『グレイフィア』と申します。どうぞお見知りおきを」
「ご丁寧にありがとうございます。僕は『黒神闇慈』と言います」
「あなたもお嬢様の眷属なのですか?」
「いえ。僕は人間です。と言っても訳ありの人間ですけどね。勿論皆さんが悪魔だってことを口外するつもりはありません」
「そうですか。ありがとうございます」
「これで全員そろったわね」
そう言うとリアスが立ち上がり、話しを持ち出そうとするとグレイフィアが尋ねた。
「お嬢様。私がお話しましょうか?」
しかしリアスがそれを止め説明しようとすると突然、闇慈達の背後に魔法陣が展開された。
(これは悪魔専用の転移魔法陣。グレモリー家の紋章でもない。一体どこの)
そしてその中から一人の金色の短髪の赤い服を着た青年が出てきた。
「ふう。人間界は久しぶりだ。会いに来たぜ?愛しのリアス」
男性が告白に近い言葉を吐くとリアスの表情が一気に強ばった。
(愛しの?・・・まさかこの人はリアス先輩の婚約者みたいなもの?でもリアス先輩の表情はあの時の表情だ)
~~~~~~~~~~~~
その後グレイフィアが現れた青年について色々と闇慈達に説明してくれた。現れた青年の名前は『ライザー・フェニックス』。上級悪魔『フェニックス家』の次期当主であり『グレモリー家』次期当主の婚約者だと言う。ここは闇慈の推理通りだった。しかしリアスはライザーと結婚する気は毛頭なかった。この結婚はリアスの意思ではなくリアスの父と兄の考えによるものだった。
(政略結婚か・・・そんなものに一体何の価値があるのやら)
闇慈は心の中でため息をついていた。闇慈にとって『結婚』とは大切なものだと思い続けてきた。よってこの結婚には疑問を抱いていた。そしてライザー自身にも疑問を抱いていた。リアスが拒み続けても強引に決めようとするその心に呆れていた。
(『フェニックス』か・・・『不死鳥』と気高く偉大な鳥の名を持っているのにこの男の行為はそれを汚してるよ)
(同感だな。強い血を入れ込もうとするその心意気は良いが、彼女の心を全く尊重していない・・・エゴな男だ)
「リアス。俺はお前の下僕を焼き尽くしても君を冥界へ連れ帰る」
闇慈はその言葉を聞くと『憑依・死神』を発動しようとしたが部室でもあったためそれを抑えた。そしてリアスとライザーの間で争いが起ころうとするとそれをグレイフィアが止めた。
「お納め下さい、お嬢様。ライザー様。私はサーゼクス様の命を受けこの場におります故、一切の遠慮は致しません」
「最強のクイーンを賞されるあなたにそんなことを言われると俺も流石に恐いよ」
ライザーはそんなことを言っていたが表情はそうとも至らなかった。グレイフィアはさらに言葉を繋げた。
「旦那様もこうなることを予想しておりました。よって最終手段を仰せつかっております」
「最終手段?どう言う事?グレイフィア」
「お嬢様が信念を貫き通したいのであれば、ライザー様と『レーティングゲーム』にて決着をと」
その事を聞いたリアスは少し驚きの表情を表した。
「レーティングゲーム・・・何処かで聞いた言葉だ」
闇慈が疑問に思っていると祐斗が説明した。
「レーティングゲームは下僕悪魔を戦わせるチェスに似たようなものだよ、闇慈君」
その説明に朱乃が付け加えた。
「本来のレーティングゲームは成熟した悪魔同士が行うものですわ」
「えっ!?それってむちゃくちゃ不利じゃないですか!!」
一誠が驚愕の声をあげた。そして再びフェニックス家の紋章の魔法陣が現れるとライザーの下僕達が出てきた。そして駒も全て使用しているらしく結構な人数だったが・・・
(何で全員女性なの?・・・もしかしてこの男って女たらし?)
それを見た一誠が突然泣き出した。
「リアス。君の下僕が突然号泣してるんだが・・・」
ライザーもドン引きのようだった。
「彼の夢はハーレムなのよ」
「ふっ。なるほどね。ユーベルーナ」
リアスがライザーに説明すると彼はクイーンと思われる女性を自分の元に呼び出した。
(ん?何をするつもりなんだろう?・・・っ!!まさか!!)
闇慈は何かに気づいたのか小猫の目を両手で遮った。
「・・・闇慈先輩。見えません」
「小猫ちゃんは見ない方が良いよ・・・」
「・・・分かりました」
闇慈の声には少し殺気が含まれていた。ライザーはクイーンを呼びつけると一誠に見せつけるようにその女性にキスしたのだ。しかもディープだった・・・。そして一誠も堪忍袋の尾が切れたのかブーステッド・ギアを発動させるとライザーにケンカをふっかけた。
「・・・ミラ」
ライザーが呼ぶと棍を持った少女が一誠の前に立ちふさがった。一誠は少女と言うことがあるのか少し戸惑いを見せていた。そして油断している隙に少女が一瞬で一誠の腹に棍を決めようとしていた。
(不味い!!)
闇慈は軽く魔力を解放し足と手に溜め、一誠と少女との間に体を滑り込ませ、右手は棍を掴み、左手は一誠の頭めがけて拳骨を振り下ろした。そして魔力を溜めた右手でそのまま棍をへし折った。
「痛って~!!?」
「私の棍を!?」
少女も止めた事とへし折られた事に驚愕しているようだった。
「イッセー!!相手は悪魔なんだから気を抜くとやられるよ!!」
「っ!!悪ぃ・・・闇慈」
「君も引いてくれないかな?無駄な争いは避けたい」
「・・・」
その少女も同意したのか自分の元居た場所に戻った。
「ほう。ミラの一撃をあの距離から止めるか・・・お前は何者だ?リアスの下僕か?」
ライザーが闇慈に興味を示したのか話しかけた。
「・・・僕は人間でオカルト研究部の部員です。そして僕はリアス先輩の下僕ではありません」
「人間だと?おい、リアス。そこの出来損ないよりこの人間の方が役に立つんじゃないのか?」
「貴方に関係ないわ。それに私の下僕と部員を侮辱しないでちょうだい」
闇慈はグレイフィアに尋ねた。
「グレイフィアさん。レーティングゲームに人間を参加させることって出来ないんですか?」
「特例ではありますが、駒の人数が合わない場合、補充要員として参加できます。しかし治療は致しますが死亡した場合の責任は負いかねます。そして口外しないようにお願いします」
「十分です。リアス先輩」
「何かしら?アンジ」
「僕を部長の駒としてレーティングゲームに参加させて下さい!!」
その事を聞いたライザーは少し呆れ顔になった。
「おいおい、部員の少年。人間の貴様に何が出来る?参加した所でリアス達の足手まといになるだけだ、やめておけ」
「貴方に心配されるほど僕はヤワじゃないですよ。焼き鳥さん♪」
シーン・・・
「貴様・・・俺のこと何と言った?」
「や・き・と・りって言ったんですよ。貴方みたいな女たらしに不死鳥を名乗る資格なんてありませんよ。焼き鳥で十分ですよ」
「ぶっ!!あはは!!闇慈!!それ傑作だぜ!!」
一誠もその事に大爆笑していた。
「き、貴様らぁぁぁ!!!リアス!!お前の下僕と部員にしつけがなっていないぞ!!」
「なら。後はレーティングゲームで勝敗をつけましょう?ライザー」
「良いだろう!!貴様ら!!今の言葉、忘れるな!!」
ライザー達は再び魔法陣を展開しその場から居なくなった。そしてグレイフィアもその場からいなくなっていた。
「あのリアス先輩・・・?」
闇慈がリアスに話しかけたが無言のままだった。
(不味い・・・これはマズったかな?)
「・・・ぷっ」
闇慈はリアスの言葉らしきもの聞きそびれてしまった。
「えっ?リアス・・・先輩?」
「あはは!!」
突然リアスの笑い声が部室を包んだ。
「あはは。闇慈。貴方って本当に面白い子ね。あのライザーに何な形で啖呵をきるなんて」
「あの・・・やっぱりダメでした?」
「そんなことないわ。ああ、久しぶりに笑ったわ。それと・・・本当に良いの?」
「へっ?何がですか?」
「レーティングゲームに参加するってことよ。私は是非お願いしたのだけど下手すれば貴方の命は無いのかもしれないのよ?」
リアスの言葉に小猫も付け加えた。
「・・・私も闇慈先輩に死んで欲しくありません」
そう言うと闇慈は小猫の頭を優しく撫でてあげた。
「・・・ん///」
「心配してくれてありがとう、小猫ちゃん」
そして再びリアスと向き合った。
「僕はゲームで死ぬつもりは毛頭ありません。それに僕自身もライザーに一泡吹かせてやりたいんです!!イッセーだってそう思うでしょ?」
「ああ!!今回は油断したけど絶対ぇあいつに俺の本当の力を見せつけてやるぜ!!」
リアスは少し考え込むと向き合った。
「そうね。でも今のままじゃ数で負けてしまうわ。レーティングゲームまでの期限は一週間。この間で出来るところまで強くなるわよ!!良いわね」
「「「「「はい!!」」」」」
(ライザー・・・今度貴様に会った時には・・・貴様に『死』を見せてやる!!)
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