ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第十一話 友人
闇慈は夜が明ける前にアーシアを起こし学校へと急いだ。幸い部室の鍵は部員全員に渡されてあるため、鍵には困らなかった。そして部室の周りにもリアスの障害結界が張られているので堕天使や教会の人間に知られることはないだろう。そして部室に入ると周りのロウソクに火をつけ明るくした。
「良し。ここまでくればもう大丈夫だよ」
「アンジさん。昨日言ってた『リアス先輩』ってどんな方なんですか?」
「厳しいけど仲間を大切に思ってくれる先輩だよ。事情を話せばきっと理解してくれる筈だと思う」
闇慈はリアスは信じる。確かにアーシアは教会側の人間だけどあのような場所にいたら心が砕けてしまう。闇慈はそうなる前に一誠の事を大切に思ってくれるアーシアを助けてあげたい、そう思った。
「分かりました。私はアンジさんを信じてますからアンジさんが信用なさっているその方も信じます」
「ありがとう、アーシア」
~~~~~~~~~~~~
そしてしばらくすると他のオカルト研究部の部員達が集まって来た。しかし一誠の顔は痛々しい表情を浮かべていた。
「すみません、リアス先輩。勝手に教会の人間を連れ込んでしまって・・・」
「良いのよ、アンジ。イッセーからも彼女の事を聞かされたけど私も納得したから構わないわよ」
「は、初めまして。アーシア・アルジェントと言います」
「リアス・グレモリー。悪魔でグレモリー家の次期当主よ。よろしくね、アーシア」
取り敢えずリアスの許可は貰えたけどこれからどうするべきか闇慈は迷っていた。教会や堕天使達は絶対にアーシアを連れ戻しに来る筈。しかしやり方が如何にも過激すぎる・・・
(まさか。堕天使達が教会の人間を操っているのかな?でもいずれにせよ教会と一荒れ来ることは間違いないな)
「アーシア。良かった・・・無事で。いつつ」
「イッセーさん!?」
やっぱり昨日の傷が完全に癒えていないのか一誠は撃ち抜かれた所を手でおさえていた。
「私が傷を塞ぎましたけど・・・光の毒までは消すことが出来ませんでした」
「私が治します!!」
アーシアが撃たれた場所に手を添えるとあの時の様に緑の光が一誠の傷を照らし続けた。
「どうですか?イッセーさん」
「すげー!もう全然痛くねぇ!!ありがとな!アーシア!!」
「いえ。イッセーさんのお役に立てて嬉しいです」
闇慈とリアスはその力を興味深く見ていた。闇慈は一度見ているがその治癒の力は教会や堕天使が欲しがるのもよく分かった。
(これが・・・アーシアのセイクリッド・ギアの力)
(その治癒の力・・・私の眷属に欲しいわね。どうにかして悪魔に迎えれないかしら?)
しかし腑に落ちない点があった。
「アーシア。何故君は堕天使がいる教会につくことになったの?」
「・・・実はこの力のせい何です」
~~~~~~~~~~~~
アーシアは闇慈達に自分の過去を語ってくれた。
アーシアは体に宿していたセイクリッド・ギアの力を使い、多くの人を癒し、周りからは『聖女』と言われていたらしい。しかし彼女には心を許せる友人がいなかった。何時も周りは『聖女』と拝めていたがアーシアにとってはそれは良いことでもあったと同時に孤独感を感じていた。
しかし、ある出来事で周りの態度は一変することになってしまった。ある日、傷ついた男がアーシアのいる教会へと逃げ込んできた。心優しいアーシアはすぐにその男をセイクリッド・ギアの力で治療したがその男は『悪魔』だった。その事知った周りの人間は『聖女』から『魔女』と言い換え罵った。そして彼女は異端審問にかけられ、教会を追放されてしまった。そしてこの極東の地・・・日本で、堕天使が集めているはぐれ悪魔祓いがいるあの教会に入ったと言うことだった。
このことを話を聞いたアーシア以外の部員は申し訳なさそうにしていた。
(・・・やっぱりこの世で一番恐ろしいのは『悪魔』でも『堕天使』でもない。僕たち・・・『人間』なのかもしれない。都合に合わせて拝んだり、それが悪くなれば切り捨てる)
(しかし。全ての人間がそう言う訳でもないと思うが?闇慈)
しかしアーシアはこのことを恨んでいなかった。神が与えた試練だと自分に言い聞かせたみたいだ。闇慈はこの子の心の強さには恐れ入った。そしてアーシアには夢があった。『友人を作る』ことだった。さっきも言ったけど彼女には心を許せる友人がいない。
「この試練を乗り越えれば何時かきっと主が私にお導きを・・・」
だけどこの子は勘違いをしている。その事を闇慈が言おうとすると・・・
「それは違うと思うぜ?アーシア」
「イッセーさん!?」
(イッセー。何を言うつもりなんだろう?)
闇慈は一誠の声に耳を傾けた。
「俺はもうアーシアの事を友達って思ってたぜ?」
「でも・・・私は・・・」
「悪魔を癒したから何だってんだ!?俺にはそんなの関係ねえ!!俺にとってアーシアは心が広い優しい女の子だと思ってる」
「い・・・イッセーさん」
その事を聞いたアーシアは段々涙目になっていった。
「だからさ。俺と・・・友達にならないか?アーシア」
一誠はアーシアに近寄り、優しく問いかけた。そして闇慈の心の中ではっきり分かったことがあった。
(・・・イッセー。やっぱり君は最高だよ!!)
「僕もその友人に加えてくれないかな?」
「・・・私もアーシア先輩と仲良くなりたいです」
「あらあら。私も構いませんか?」
「私も今日初めてあったけどそれに加えてくれないかしら?」
みんなはアーシアの元に寄り添った。そしてアーシアは闇慈の方を見た。
「アンジさん」
「アーシア。君は不幸になりすぎた。だからもう・・・幸せになって良いんだよ」
闇慈はアーシアに語りかけると、アーシアは流れていた涙を拭うと・・・
「はい。みなさん。よろしくお願いします」
最高の笑顔でみんなに挨拶をかわした。こうしてまた闇慈に一人の仲間が加わった。
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