ソードアート・オンライン stylish・story
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第二十三話 クリア
「せいやっ!!!」
「ギュアアア!!!」
ユイが居なくなってから数日後、シュウは自分のホームに戻っており何時も通りに依頼をこなしていた。キリトとアスナはこの数日の間に現実を割り切ったみたいで何時もの夫婦生活を送っていた。
「キリトとアスナが元に戻ってくれて良かったな。これで俺が心配する事は何も無いか」
今日は最前線攻略が行われていたがシュウは前回の攻略に参加していたため今回の攻略には参加しておらずに依頼をこなしていた。
そして先程、依頼のドロップアイテム【タイラント・スコーピオンの鋏】を手に入れたみたいだった。シュウが依頼を完了してホームに戻ろうとするとメールが届いた。差出人は・・・
「クラインからメール?そう言えばあいつ、攻略に参加しているだったよな?終わったのか?」
シュウが頭の中に疑問を募らせ、メールを開く。その内容には・・・
『シュウ。早く来てくれ!!このままじゃキリトが・・・』
「っ!?」
メールの内容は如何にも不吉な事を示すように途中で途切れていた。シュウは最悪の事を頭の中に過ぎらせながら、攻略が行われている筈のダンジョンに急いだ。
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第75層・迷宮区
シュウがダンジョンの最深部に急いでいる道中にモンスターと鉢合せになる事があったが・・・
「雑魚が!!テメェ等に構っている暇はねぇんだ!!退けぇ!!!」
リベリオンを振り回し、一騎当千の勢いで最深部を目指していた。
レベルは既に最高ランク100に達しており、武器レベルも全部最高値に達していたため道中の敵はシュウにとって最早、雑魚敵でしかないようだった。そして最深部の大きな門が見え始め、シュウは一気にその中に入り込むと想像絶する光景だった。
攻略組みの殆どは【麻痺】にやられているのかその場から動けずに悶えていた。唯一動いているのは何故かデュエルをしてる血盟騎士団団長ヒースクリフとキリトだけだった。
(これはどうなってるんだ!?考えていても埒が明かねぇ!!)
シュウはデュエルをしている二人の間に光速のスピードで身体を滑り込ませるとキリトに襲い掛かろうとしたヒースクリフの剣をリベリオンで受け止める。
ガキン!!
「っ!?シュウ!!」
「何故君がここにいるのだね?シュウ君」
「んな事はどうでも良い!!それよりも・・・」
シュウはヒースクリフの剣を押し返し、キリトと一緒に距離を取ると問いかける。
「何故テメェ等こんな所でデュエルをやってんだ!?それにこの惨事はテメェの仕業か!?ヒースクリフ!!」
「・・・そうだな。そうだと言って良い」
ヒースクリフのあやふやな言葉にシュウは完全に理解出来なかったがキリトの助言で理解することが出来た。
「シュウ。彼がこのSAOのゲームマスター・・・茅場晶彦だ!!そして最終層のボス!!」
「何だと!?って事は奴を倒す事が出来ればこのゲームはクリアされるって訳か!?」
「そう言う事になるがこれは私とキリト君との戦いだ。邪魔しないで貰おうか?シュウ君」
「何っ!?・・・ぐっ!?」
シュウは突然体が痺れると他のプレイヤー同様に地面に倒れ付してしまった。
「これは・・・麻痺!?」
「私はこのSAOのゲームマスターだ。これ位の事は造作も無い。そこに居るアスナ君と一緒にこの戦いを見届けると良い」
「茅場ァァァ!!!」
シュウの叫び声がフィールド上に木霊するがキリトは自分は大丈夫だと言い聞かせる。
「俺は大丈夫だ、シュウ。絶対に勝ってこのゲームを終わらせる!!」
「キリト・・・お前まさか!?」
シュウの頭の中に一つの事が過り、声をかけようとするがキリトは二刀流を掲げ、ヒースクリフに斬りに掛かった。
(お前・・・刺し違えてでも奴を倒すつもりか!?そんな事してもアスナは喜ばねぇぞ!!クソッ、この麻痺さえ無くす事が出来れば!!麻痺・・・そうだ!あれがある!試してみる価値はある!!)
シュウは動きの鈍った右腕を動物のナマケモノように動かし、アイテム欄を開こうとした。麻痺は石化とは違い完全に動けなくなる訳ではなかった。シュウはこれに可能性を掛けてみる事にした。
一方、ヒースクリフと戦っているキリトはスキルを使おうとせずに自分の剣術だけで戦っていた。ゲームマスターであるヒースクリフにスキルは通用しないと取ったのだろう。だが・・・
(不味い!!あんな雑な剣の使い方をしていたら!!)
シュウがキリトに呼びかけようとしたその時・・・キリトの一本の剣が折れた。
「さらばだ!キリト君!!」
ヒースクリフが剣を振り上げキリトを斬ろうとした瞬間、何かがキリトの前に立ち・・・
ザシュッ!!!
変わりにその身体でヒースクリフの斬撃を受けた。それは・・・
「「ア、アスナァァァ!!!」」
キリトの恋人、そしてシュウの唯一無二の妹、アスナだった。どうやって麻痺を潜り抜けたのか分からないが大切な事はそこじゃなかった。
キリトはアスナを抱え込み、呼びかけるが彼女のHPはそこを尽き・・・
「ごめんね・・・?キリト君・・・お兄ちゃん。さようなら・・・」
「「っ!!」」
一言声をキリトとシュウに向けるとそのまま消滅してしまった。
「嘘・・・だろ?アスナが・・・死んだ?」
シュウは妹が目の前で消滅してしまった事を一瞬、受け入れる事が出来なかった。そして段々妹を殺したヒースクリフに殺意を抱き始めた。
「これはこれは自力で麻痺の解除方法は無かった筈だが・・・不思議な事もあるものだな。さて・・・終らせよう」
ヒースクリフは恋人を目の前で失った絶望感に陥っているキリトに自分の剣を突き刺した。
「ガフッ!!」
キリトは何の抵抗も無くそれを受けてしまった。キリトのHPは見る見る減って行った。このままではアスナの二の舞になってしまうのは確かだった。
シュウはこれ以上大切な存在を失いたくは無かった。彼は急ぐようにアイテム欄からそれを取り出し、それを装備する。
装備したのは【パラライ・チェック】。麻痺を完全に取り除く事は出来ないが負担を軽減してくれるアクセサリーだった。今の状況で腕だけ動けば十分だった。
両腕だけが完全に動く事を確認したシュウは持っていたリベリオンからルシフェルに変えると一本の起爆剣を作り、左腕で身体を支えながら右腕で剣を投げる。
「うおぉぉぉ!!!」
「ぐっ!?」
ヒースクリフはキリトに集中しすぎたせいでその起爆剣を胸に受ける。その拍子にキリトの眼に光が戻って来た。それを見たシュウはキリトに呼びかける。
「キリト!!テメェはアスナに救ってもらったその命を無駄にするつもりか!?そんな事俺は許さねぇぞ!!テメェはここに居る全員の希望なんだ!!こんな所で諦めて死んだら、俺はテメェを一生憎み続けるぞ!!」
「そうだ。まだだ・・・まだ終れない!!はあああ!!!」
シュウの激励に答えたのかキリトは持っていたアスナのレイピアを最後の力を振り絞ってヒースクリフの腹に突き刺した。そしてキリトが剣から離れるとシュウは起爆剣を起爆させた。
「見事だ・・・」
二人の攻撃はヒースクリフのHPを完全に削り、消滅させた。麻痺が解けたシュウはキリトに近寄り状態を確認する。
「キリト!キリト!!」
「シュウ・・・悪ぃな。お前との約束、守れなかった・・・」
シュウは急いでHPを回復しようとしたがキリトのHPはすでに0に達していた。そしてキリトの身体はアスナ同様に消滅してしまった。
「ア・・・アァァァ・・・ウワァァァ!!!」
シュウは地面を殴りつける。自分の妹、親友が目の前で二度も消えてしまえばこうなる事は眼に見えていただろう。
シュウが自己嫌悪に陥ろうとした瞬間・・・そのフィールドは光に包まれた。
後書き
これでSAO編は終了です!!次回からはALO編となります!!
なおこの小説はALOで終了となりますので、ご了承下さい!!
そしてALOにおける種族はこちらで決めさせて頂きますので、検討をお願いします!!
感想と指摘。よろしくお願いします!!
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