スーパー戦隊総決戦

「今ここでね」
「芳香ちゃんもアイドルになろうかしら」
　さりげなく言うマジピンクだった。
「モデルさんから」
「それまた私の話になりそうだけれど」
「気にしない気にしない」
　妹に明るく話す。
「姉妹でユニットっていうのもいいじゃない」
「そうかしら」
　マジブルーはそれを聞いてもかなりいぶかしんでいた。
「だったらいいけれど」
「姉妹ユニットねえ」
「ちなみに私達もユニット組むよ」
「ちゃんとね」
　フラビージョとウェンディーヌはこのことも話す。
「何てったってアイドルよね」
「そうそう」
「アイドルねえ」
「俺達も組んだっすが」
　ゴーオンレッドとゴーオンブルーがそんなことを話す。
「やってみると楽しいけれどな」
「それまでに勇気がいるものっすよ」
「しかしまたやってみたいものだな」
　ゴーオンゴールドが何気に一番乗り気のようだ。
「Ｇ５だったな」
「あれよかったよね」
「そうだな。流石に公務員だからもう無理だがな」
　ゴーオングリーンとゴーオンブラックも話している。
「またああいうことしたいよね」
「カラオケでもな」
「ちょっと待ってくれません？」
「今凄いこと聞いたんだけれど」
　アバレッドとデカグリーンがそのゴーオンブラックに問うた。
「ゴーオンブラックさん今公務員って仰いましたけれど」
「それで今ずっと戦ってたのかな」
「ああ、そうだけれどな」
　ゴーオンブラック自身もそうだと答える。
「それがどうしたんだ？」
「ずっと仕事してないけれどいいの？」
「それで」
「そういえばそうだよな」
「こいつ仕事大丈夫か？」
「公務員なのに」
　敵も味方もそれに気付いたのだった。考えてみればだった。
「御主首になっておらんか？」
「就職活動はしてるのかい？」
　シタリと薄皮太夫も何か真面目に心配しているようである。
「食べていっておるのか？」
「どうなっているんだろうね」
「ああ、特別任務で出張になってるんだよ」
　そのゴーオンブラックの言葉だ。
「だから大丈夫だよ」
「それで大丈夫なのか」
「出張扱いか」
「デカレンジャーのところに出張扱いになってるんだよ」
「あれっ、そうだったの？」
　デカスワンがそれを聞いて驚いた顔になる。
「初耳だけれど」
「いや、それは本当のことだ」
　ここで言ったのはデカマスターだった。
「今まで言わなかったがな」
「物凄く大事なこと言い忘れてません？」
「何気に」
　皆このことに少し呆れながら問い返した。
「そうか、それで首になっていなかったんだ」
「成程ねえ」
「それでか」
「ああ、そうだったんだよ」
　また言うゴーオンブラックだった。
「俺もこれでちゃんとそうしたことになってるんだよ」
「俺も一応自衛隊なんだけれどな」
　今言ったのはガオイエローだった。
「それでもこうしているからな」
「ああ、御前そういえばそうだったな」
「今思い出したわ」
　ヤバイバとツエツエが言いだした。
「パイロットだったよな」
「そうそう」
「待て、御前等何で知らないんだ？」
「幾ら何でもそれ忘れたら駄目じゃないの？」
　ガオイエローだけでなくガオホワイトも突っ込みを入れる。
「何処までいい加減なんだよ」
「一年間の戦いは忘れたの？」
「たまたま知らなかっただけだよ」
「そうよ、気にしないことよ」
　また無茶な返答だった。やはりこの二人は二人であった。
　それでもだ。ガオイエローはかなり呆れながらも言うのだった。
「俺も自衛隊から宇宙警察署に出向の形になってるんだよ」
「そうか、御前も大変なんだな」
「頑張ってるのね」
「あんた達はまたいい加減過ぎるだろ」
「あのな、それ位調べておけよ」
　ガオブルーとガオブラックも呆れた顔である。
「一年間何やってたんだ？」
「遊んでいただけとか言わないよな」
「一年間リストラされないかどうか悩んでたんだよ」
「難しい上司ばかりだったからね」
　そんなかなり俗世じみたことを言う二人だった。
「オルグが崩壊してからサーカスでピエロやってたしよ」
「私なんか漫才師やってたのよ。これでも売れっ子なのよ」
「そっちの方が合ってない？」
「そうだな」
　ガオレッドとガオシルバーはそんなことを言うのだった。
「しかし皆何気に仕事してるんだね」
「俺も今はバイク屋で働いているしな」
「さて、じゃあやるか」
「話し合いが長引いたけれど」
　ここでまた言うヤバイバとツエツエだった。
「いいな、聖杯は俺達のものだ！」
「やってやるわよ！」
「よし、それなら！」
「決戦のはじまりよ！」
　こうしてだった。遂に最後の戦いがはじまるのだった。砂浜で互いに対峙していた。


第十七話　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１０・５・１４